帰冬

暗く寒々とした空を待ちわびて
吹きすさぶ風になりたくて
悲しいほどたくさん天を仰いだ
 
イルミネーションの輝きが凍り付く
だからほんのひととき生き返ろう
君と過ごした冬を記念するために
 
風よアスファルトの熱を奪うがいい
冬の命を守っておくれ
春がわたしを溶かすまで
 
光に沈み師走は更けぬ

光に沈み師走は更けぬ

ホームにて巡る景色を

あまりにも、あまりにも繰り返し、同じ場所で同じ電車を見送ったから、
もうあれが夢だったのか現実だったのか、わからなくなっちゃった。
夢だったらいいな、心が痛まないもの。でもたぶん現実だったね。
 
幾許もの季節をすり抜けて、記憶は君の元へ帰りたがっている。
帰る場所なんてないってことを理解できないらしい純粋さで。
 
ねぇ同じじゃないよ、今年のイルミネーションは色が違ってる。
ねぇ同じじゃないよ、今年の木々は去年ほど色づいていない。
ねぇ同じじゃないよ、今年の風景を君は愛していないじゃないか。
 
電車がゆくね、今日も明日も。夢の日が遠ざかってくね。

そして今日も、ホームであの日の電車を見送り続ける。

そして今日も、ホームであの日の電車を見送り続ける。

weathering

キライだったモノを好きになり
好きだったモノは色褪せた
それほど長い時が過ぎてった

だからそろそろ忘れてもいい
だからもう忘れさせてはくれまいか

空が碧いから
光が優しいから
今日も痛いほど鮮やかだ

weathering

あの日の美しさはあの日だけのもの。そして今日のあなたはあの日のあなたではない。

temporary

忘れられる世界にとどまって
忘れられる愛を抱えていよう
忘れられる世界が終わるまで
temporary

あの日の君を忘れない。

いつか辛かった日の

夕暮れに寄り添った

流せない涙
忘れるべき痛み

夕暮れは寂しいから
夕暮れは切ないから

涙も痛みも許される

夕暮れは優しいから
夕暮れは潔いから

ほんのひととき
甘えたかった

ほんのひととき
寄り添った

いつか辛かった日の

夕暮れはただそれだけで寂しい。だから救われる。