夕暮れ時の公園で

   噴水のほとりにはたくさんの人。
   思い思いの夕暮れ時が交差する。
   最後の光が飛沫の中で名残を惜しむ。

   迫りくる闇色に暖かさと寂しさと。

   わたしは白くただ白く。
   心も身体も純白になろうと空を仰ぐ。
   噴水の中の石像になろうと水面に願う。

   去りゆく光に哀しみと儚さと。

夕闇の水面

夕暮れ時の公園で、わたしは飛沫を浴びて石像になろう。

風も月も

風はゆく
銀の月には届かない

腕は宙を漂いて
ただ一粒の滴を受ける

風の涙も月の矢も
今はもう水の底

風も月も

滴はすべてを閉じ込める。風も月も想い出も。

風になって

吹き抜けてゆければいいのに

緑の葉っぱと戯れて
続いてゆく空を追いかけて
遠くへ遠くへ遠くへ

心なんて消えてしまうほど

風になって

いつかあなたの街を吹き抜けるころ、わたしはただの風になっている。

通り抜ける風のように

   たとえ抱きしめることができたって
   触覚すら共有できない
   ましてや心の痛みなど

   届かない
   いくら手を伸ばしても

通り抜ける風のように届かぬあなた

通り抜ける風のように届かぬあなた