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ペルセウス座 は,秋が深まる9月末には宵の口に北東の空へのぼるようになり,新年を迎える頃に宵の空の天頂へ高々と懸かります。毎年8月の夜空を飾るペルセウス座流星群でこの星座の名前を聞いたことがある方も多いことでしょう。
1等星こそありませんが,秋から冬にかけての銀河の中に位置しており,2個の2等星と5個の3等星に描かれる曲線がにぎやかな印象を与える星座です。
ペルセウス座 は,アンドロメダ座 ・カシオペヤ座 ・ぎょしゃ座 ・おうし座 など探しやすい星座に囲まれていますから,先にこれらの星座を確認し,たどっていくと簡単に見つけることができます。
カシオペヤ座 から探すときは,カシオペヤ座のγとδを結び,燦々と輝くぎょしゃ座 の0等星カペラの方へ向かって伸ばします。すると,ペルセウス座γ・α・δが作る曲線へたどり着きます。αは1.7等で1等星と見間違うほど明るい2等星ですし,γとδは3等星。この星列に沿って銀河が流れています。
また,アンドロメダ座 から探すときは,ペガススの四辺形の北東角にあたるアンドロメダ座 αを確認し,そこからピョンピョンと飛び石を飛ぶように等間隔に並ぶアンドロメダ座β・γをたどり,もう一つピョンと等間隔に東へ飛べば,ペルセウス座 βです。これら4星は全て2等星で,明るさもそろっています。ペルセウス座 βは,アルゴルという名前の代表的な食変光星で,ペルセウス座で一番有名な星です。
星図中の白い+印は,ペルセウス座 が南中したときの天頂の位置。
このようにペルセウス座 は正に頭の真上を通りますので,南中時に星をつないでいると首が痛くなってしまいます。少し低い位置に見えているときに探してみましょう。
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ギリシア神話によると,ペルセウス座 は大神ゼウスと,ギリシア南部にあったアルゴスという国の王女ダナエの間に生まれた男の子,ペルセウスの姿。
ダナエの父親であるアクリシオス王は,「娘の子に命を奪われる」という予言を受けてダナエを塔に監禁していましたが,美しいダナエをみそめたゼウスは,黄金の雨となって塔に忍び込み,男の子を生ませました。アクリシオスは慌てて母子を海に流してしまいますが,幸い二人は生きのび,成長したペルセウスは,ダナエの求婚者に難題を突きつけられて旅に出ます。その難題とは,一目その姿を見た者は恐ろしさのあまり石になってしまうと言われるメドゥサという怪物の首を取ってくるという仕事です。
しかし,ペルセウスは知恵の女神アテナと伝令神ヘルメスの助けを借りて見事メドゥサを討ち取りました。メドゥサの首を切り落とした時,そのほとばしる血の中から躍り出たのが天馬ペガサス(ペガスス座 )であったと伝えられます。
その後,ペガサスに乗って国へ帰る途中,ペルセウスはエティオピアの海岸で岩場に繋がれたアンドロメダ姫(アンドロメダ座 )を偶然見つけて救うことになり,物語は古代エティオピア王家を巡る人々と共に発展してゆくのです。
ところで,アクリシオス王の予言はどうなったのでしょうか?
無事にアンドロメダ姫を救い妻にしたペルセウスは,後にアンドロメダとダナエを伴ってギリシアへ渡り,テッサリアで行われた競技会に参加します。しかし,円盤投げの競技で手元が狂い,投げた円盤が見物人の老人の頭に当たってしまいます。老人は間もなく死んでしまったのですが,この老人こそ,ギリシアへ戻ったペルセウスを恐れてテッサリアへ逃れていたアクリシオスだったということです。
星座の中のペルセウスは,勇者らしく片手で剣を振りかざし,もう片手にはメドゥサの首を持っていますが,上でお話しした変光星アルゴルが丁度メドゥサの首に当たっています。
ペルセウス座 の星の名前については星のるつぼをご覧下さい。
ペルセウス座 は,北東の方角から上り,天頂から北よりにかけての空を通り,北西へ沈む星座です。このため北を向いた方が探しやすいと思います。上の星図は南を下に,北を上に描いており,南を向いたときの見え方です。北を向いて星座を探した場合,イメージが変わってわかりにくいかもしれません。 北を向いたときと同じ,北を下に南を上に描いた星図も載せておきますので,こちらでも星座を探してみてください。 |