Autumn Leaves

    さようならさようなら、今年の葉っぱたち。
    春はあんなに若々しく綺麗で希望に溢れていた。
    夏は木陰を作って道行くわたしを助けてくれた。
    でも、もうお別れの時。
    好きだったあの桜の木も、今頃色づいているだろうか。
    遠い街で、懐かしい家の脇で。

    季節はゆきて人は老い、わたしはいつも悲しい。
    でも木々が優しいから、風が美しいから生きてゆける。

Autumn Leaves

美しすぎて悲しすぎるあなたの最期の晴れ姿。

風よ抱きとめて

     強い風に吹かれたら
     きっと折れない心が手に入る
     あるいは戻れぬ場所へ飛んでゆける

     激しい雨に打たれたら
     きっと濡れない瞳が手に入る
     あるいは溶けて消えられる

     厳しい寒さに凍えたら
     きっと固く凍った想いが手に入る
     あるいは凍えを知らぬ氷になれる

     雨に打たれ雪に埋もれ
     風に凍え灼熱で焼かれた
     なのに今日もわたしは生きている

     夢も輝きも君と共に消えたのに

風よ抱き留めて

二度と帰れない遠くまで飛んでゆこう。翼があるうちに。

今もまだいつも

    あなたを求め言葉が彷徨う

    もうどんな答も返らない
    わかっているのに

    空を見上げ涙を心に追い返す

今もまだいつも

そしてわたしは雑踏に埋もれあなたの残照を追いかける。

ラスト・ノート

   どんなに優しい言葉もまなざしも
   束の間の花なのだ
   明日を待たずに散りゆくさだめ

   消えてゆく
   きらめいた笑顔の面影も
   抱きしめた残り香さえも

ラスト・ノート

あの日の煌めきはみんな本物だったのに。

十月の雨

    冷たい雨に芯から冷えて
    彼女を想う

    きっとこんなに冷たくて
    きっとこんなに寒かった
    もう届かない遠い日々

    やるせなくて哀しくて
    金木犀の枝を弾いた

露ぬれた金木犀

あの日の空から帰ってきたかの如く、金木犀は優しい香りで包んでくれた。