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今月は中秋の名月と十三夜,二つの名月が重なる珍しい月です。
3日が中秋の名月。中秋の名月とは,仲秋(陰暦8月)15日の月のことで,必ずしも満月と同日ではありません。満月の前後が中秋の名月となる年も多く,本年も満月は翌日4日となっています。
中秋の名月は別名“芋名月”といい,昔から里芋を供える習慣がありました。日本人の主食が里芋だった名残だとも言われます。日本では,お月見は中秋の名月と後の名月(十三夜)の両方の名月を見るものとされ,どちらか片方だけ見るのは“片見月”として忌み嫌われました。十三夜は月末の30日ですから,中秋の名月を見た方は,是非30日の十三夜も眺めて下さい。
“栗名月”“豆明月”などとも呼ばれる十三夜は,旧暦9月13日の月のこと。中秋の名月は唐の習慣が伝わった行事ですが,十三夜は日本独特の風習で,醍醐天皇(在位897-930)の御代に行われるようになりました。
10月にはジャコビニ流星群とオリオン座 流星群,2つの流星群がありますが,今年はオリオン座 流星群がよい条件です。オリオン座流星群は現在活発な状態にあり,通常は1時間あたり15個程度の流星数ですが,2006年・2007年は1時間に100個飛んだという報告があります。
観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。流星観測は身体が冷えますので,防寒対策をしっかりして下さいね。
惑星は,水星が6日に明け方の空で西方最大離角を迎えます。秋は地平線に対して黄道が立っており,少し見やすくなっていますから,早起きしてトライしてみましょう。
また13日〜14日に金星と土星が明け方の東の空で,ほとんどくっついて見えるほど近づきます。16日〜17日にかけては,この2星に細い月も加わり,空が地平線近くまで開けた場所なら水星も見えて非常に豪華な空が楽しめます。カメラを三脚に固定して,周囲の風景と一緒に写真を撮ってみましょう。
午後8時(20時)に南中を迎える,観察しやすい星座たちです。
【上旬】 インディアン座(☆) ・ こうま座 ・ はちぶんぎ座(☆) ・ やぎ座
【中旬】 ケフェウス座
【下旬】 つる座 ・ とかげ座 ・ ペガスス座 ・ みずがめ座 ・ みなみのうお座
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
【惑星状星雲】 M27 (あれい状星雲,こぎつね座), M57 (環状星雲,こと座), NGC7293 (らせん状星雲,みずがめ座)
【散光星雲】 NGC7000 (北アメリカ星雲,はくちょう座)
【球状星団】 M2 (みずがめ座), M15 (ペガスス座), M30 (やぎ座), M56 (こと座)
日 | 曜 | 月 | 天文現象 |
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3 | 土 | 中秋の名月 | |
4 | 日 | 満月:15時10分 | |
6 | 火 | 水星が西方最大離角:11時(-0.5等,離角17度57分,視直径6.8秒) | |
8 | 木 | アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:3時14分 寒露:12時40分。太陽の黄経が 195度になる。 | |
9 | 金 | ジャコビニ流星群の極大:2時 | |
11 | 日 | アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:0時2分 下弦:17時56分 | |
13 | 火 | 月が最近:21時24分(視直径32分23秒) アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:20時51分 土星と金星が最接近:19時58分(0°31分) | |
18 | 日 | 新月:14時33分 | |
20 | 火 | 秋の土用の入り:15時22分。太陽の黄経が 207度になる。 | |
21 | 水 | オリオン座 流星群が極大(条件最良) | |
23 | 金 | 霜降:15時43分。太陽の黄経が 210度になる。 | |
26 | 月 | 月が最遠:8時18分(視直径29分34秒) 上弦:9時42分 | |
28 | 水 | アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:4時55分 | |
30 | 金 | 十三夜(後の月) |