3月17日のセント・パトリック・デー(St. Patrick’s Day/聖パトリックの祝日)は,アイルランドの守護聖人である聖パトリックの命日で,アイルランドでは最大の祝日です。
聖パトリックの逸話にちなんだシャムロックの葉を身につけ,緑の島アイルランドを讃える緑色の服を着て集まった人々が,盛大にパレードを行い祝います。
この祭はアイリッシュ移民により世界各地へ伝えられ,今では世界中で毎年祝われます。特にアメリカでは,1762年からニューヨークで大規模なパレードが行われており,最大の祭の一つとなっています。
日本でも,聖パトリック祭のパレードは東京・原宿の恒例行事で,3月に入ると表参道にはアイルランドと日本の国旗がはためきます。
聖パトリック(聖パトリキウス/387?〜461)は,ラテン名をパトリキウスといい,ウェールズのケルト人の家庭に生まれました。両親はキリスト教だったそうです。
パトリキウスは16歳の時にアイルランドの海賊に拉致され,アイルランドで奴隷として売られ,羊飼いとして6年間働きます。
しかし,彼は「アイルランドにキリスト教を広めよ」という神の声を聞いて牧場を脱走し,故郷へ戻ります。その後ガリア(フランス)の修道院で修行をし,西暦432年に宣教師として再びアイルランドへ戻ります。
そうして,パトリキウスは各地に教会堂を建て,学問を奨励し,アイルランドの教会編成に多大なる貢献をし,死後は聖人として尊敬されるようになりました。
彼が三つ葉のクローバーに似たシャムロックを用いて三位一体説を説いたことにちなんで,シャムロックは,今ではアイルランドの国花となっています。
アイルランドのエアリンガス(Aer Lingus)航空の飛行機は尾翼にシャムロックのマークをつけて世界を飛んでいますし,アイルランドの土産物は緑一色,シャムロックがあしらわれた物が好まれます。
3月半ば,日本でもそろそろ緑が芽吹く季節です。
3月17日は,シャムロック(シロツメクサ)に覆われた“エメラルド・グリーンの島”アイルランドに思いを馳せてみたいと思います。