文月

 やがて梅雨が明け,やがて来る暑い夏を予告する七月の訪れです。けれど,旧暦では七月(文月)は秋の始まり。

 “文月”は,ふみづき,ふづき,ふんづき,などと読みますが,語源ははっきりわかっていません。
 旧暦7月は稲の穂がふくらみ始める季節であったことから“含月”(ふくみづき=ふふみづき),稲の穂の膨らみを見る月であることから“穂見月”(ほみづき),七夕で詩を書いた文を供える月であったことから“文披月”(ふみひらきづき,ふみひろげづき)などなど,様々な語源説が知られています。

 七月には,文月の他にも異名があります。
 秋が始まる月であることから“秋初月”(あきはつづき)。
 七夕の月であることから“七夕月” “棚機月”(たなばたづき),あるいは“七夜月”(ななよづき)。
 七夕を愛でる月であることから“めであひ月”。
 女郎花の花が咲く月であることから“女郎花月”(をみなえしづき)。

 オミナエシは,秋の七草の一つとして有名です。
 日本全土の日当たりのよい草原に生えるオミナエシ科の多年草で,8月から10月に小さな黄色い花を咲かせます。

女郎花(オミナエシ)

 七月の様々な異名を列挙しておきましょう。

・文月(ふづき・ふみづき)
・含月(ふくみづき・ふふみづき) 稲穂が膨らみ始める月
・穂見月(ほみづき) 稲の穂の膨らみを見る月
・文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)
・ 秋初月(あきはつづき・あきそめづき) 秋が始まる月
・上秋(じょうしゅう) 秋が始まる月
・初秋(しょしゅう・はつあき) 秋が始まる月
・新秋(しんしゅう)  秋が始まる月
・早秋(そうしゅう) 秋が始まる月
・ 七夕月/棚機月(たなばたづき)  七夕の月
・ 七夜月(ななよづき)  七夕の月
・ 愛逢月(めであひづき) 七夕を愛でる月
・女郎花月(をみなえしづき) オミナエシが咲く月
・建申月(けんしんげつ)  建(北斗七星の柄)が申(さる)の方角(南西)を指す月
・孟秋(もうしゅう)  「孟」は初めの意で 秋の初めの月
・夷則(いそく) 語源は中国音楽の十二律の一つ
・槐秋(かいしゅう)
・瓜時(かじ) 瓜が熟する時節
・享菽(きょうしゅく)  菽(枝豆)の季節
・処暑(しょしょ)  二十四節気の14番目で旧暦7月中
・親月(おやづき・しんげつ)  盂蘭盆会 (うらぼんえ) で親の墓参りに行く月
・相月(そうげつ・しょうげつ)
・素商/素秋(そしょう)  秋の異称
・大晋(たいしん)
・窒相(ちっそう)
・肇秋(ちょうしゅう) 秋のはじめ季節
・桐月(とうげつ)  青桐の花が咲く季節
・桐秋(とうしゅう)  青桐の花が咲く秋
・否月(ひげつ)
・蘭月(らんげつ) 蘭=フジバカマ/アララギの花が咲く季節
・蘭秋(らんしゅう)  蘭=フジバカマ/アララギの花が咲く秋
・流火(りゅうか) 火=アンタレスが低くなり寒さへ向かう季節
・涼月(りょうげつ) 秋が始まり風を涼しく感じる季節
・冷月(れいげつ)


7月のお話


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