立春から数えて八十八日目の日のこと。
毎年5月1日〜2日ごろに訪れます。
八十八夜を過ぎると霜が降りる心配がなくなり,農家では種まきや茶摘み,養蚕などで忙しい季節となります。
「米」という字を分解すると「八十八」になることから,八十八夜は昔から農耕上の大切な日として農家の人々に重んじられた日でした。
八十八夜が正式に日本の暦に登場したのは,明暦2年(1656年)の伊勢暦からです。
その後,渋川春海(※)が貞享(じょうきゅう)の改暦(1684年)を行った際に,八十八夜を暦から削除しました。
しかし伊勢の船長が奉行所に八十八夜の復活を訴え,民間の便のために復活させたという記録が残っています。
「八十八夜の別れ霜」ということわざがあります。
八十八夜とは霜の季節の終わりを告げる言葉なのです。八十八夜の頃には天候が落ち着き,この季節の霜も終わりになります。
これに由来し,八十八夜の頃の晩春に降りる霜のことを「忘れ霜」「別れ霜」「霜の果」「名残の霜」「晩霜」などと呼びます。
※ 渋川春海(しぶかわはるみ/1639-1715)
江戸時代前期の天文暦学者・囲碁棋士・神道家。
参考:
・精選版日本国語大辞典
・大辞泉
・三省堂国語辞典
・貴重資料展示室046 季語・歳時 – 国立天文台暦計算室
・暦Wiki/渋川春海 – 国立天文台暦計算室