変光星観測には,目で見て明るさを決める眼視観測のほか,写真観測やCCD観測など様々な方法があり,また光度の目測方法も比例法,光階法(こうかいほう),ポグソンの直接見積もり法,カンデラ法などがありますが,ここでは眼視による比例法の観測についてご紹介しましょう。
比例法による目測
1. 目的の星を探す
変光星図を確認し,観測すr変光星を探します。
2. 比較星を選ぶ
なるべく変光星の近くにあり,変光星図に光度が書いてある星の中から,変光星より少し明るい星(A)と少し暗い星(B)を選びます。
明るい星(A)と暗い星(B)の差は,なるべく1等以内になるようにしましょう。
これら2つの星(AとB)を,比較星(ひかくせい)と呼びます。
3. 目測
変光星の明るさが,どちらの比較星に近いかを10段階で表します。
Aの明るさをa等,Bの明るさをb等とし(aとbは変光星図で調べます),明るさの差を10等分し,変光星の光度がaとbの丁度中間であれば a5 5b。
それより少しaに近ければ a4 6b,bに近ければ a6 4b。
もっとaに近ければ,a3 7b または a2 8b,a1 9b とします。
最初は少し難しく感じると思いますが,悩まず最初の印象で思い切って決めてしまうのがコツです。
どうしても10段階で比較するのが難しければ,最初は5段階とか3段階で目測してみてもよいでしょう。
4. 記録
下記の項目を観測ノートに記録します。
- 変光星名
- 観測年月日及び時刻
- 目測結果
- 使用機材
観測時刻は33時間法(午前0時を前日の24時,午前2時を26時,午前5時を29時のように表す方法)で記録しましょう。
例えば,変光星名がU Mon,観測年月日が2002年2月10日,時刻が20時30分,目測結果がa4 6b,使用機材が7*50双眼鏡(binocular)であった場合,下記のような記録になります。
U Mon 200202102030 (a)4 6(b) 5B
使用機材は,一般的にレンズの口径(cm)と機材種類で記録します。
機材種類は,双眼鏡B,屈折望遠鏡R,反射望遠鏡L,ファインダーF,肉眼Nと略します。
5. 光度の算出
記録結果から,変光星の光度を算出します。
例えば上の例,明るい比較星の光度a,暗い比較星の光度b,目測結果が4:6であった場合の計算方法は次のようになります。
変光星光度 v=a+4/10×(b-a)
aが6.0等,bが6.6等であった場合,変光星図では6.0等を60,6.6等を66のように示されており,計算は下記のように行います。
v=60+4/10×(66-60)=60+0.4×6=60+2.4=62.4
小数点以下を四捨五入し,変光星光度v=62 (6.2等)となります。
変光星観測について詳しく知りたくなった方は,下記のpdfファイルを読んでみましょう。
・AAVSO 変光星眼視観測用マニュアル