星空解説
近年は気候も変わってきていますが,元来7月は劇的に気候が入れ替わる月でした。
前半は梅雨の最中で,学校が夏休みに入る頃には梅雨明け。梅雨が明けると太平洋高気圧に覆われて,安定した晴れの日が続く。これが7月でした。
このような梅雨明け後の安定した晴れ続きを,梅雨明け十日と呼びます。夏休みに入ると林間学校やキャンプなどで星を見る機会も増えますね。
今年は7月21日(火)が上弦で,海の日の連休の頃は月が傾く夜半前から星空観望に適しています。
七夕
7月と言えば七夕ですが,現在の暦では梅雨の真っ只中で星が見えないことも多いですね。
今年は7月8日が下弦なので,七夕の日は夜半まで月明かりのない星空となります。
都会の明るい空の下で天の川を見るのは難しいですが,織り姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)はよく見えます。
織り姫と彦星は夏の大三角を形作る星でもあり,見つけるのは難しくありませんので夏の星座を探してみようのページを参考に探してみてください。
ところで,本来の七夕は旧暦(太陰太陽暦)の行事(※)です。
旧暦七夕の頃には梅雨も明けていてよく晴れます。7月7日に星を見るのが難しかったら,8月の伝統的七夕の日を待ちましょう。
今年の旧暦七夕(伝統的七夕)は8月19日です。
※ 旧暦七夕(伝統的七夕):
二十四節気の処暑を含む日かそれよりも前で,処暑に最も近い朔(新月)の瞬間を含む日から数えて7日目が伝統的七夕です。
2026年は8月23日が処暑,8月13日が朔(新月)なので,8月13日の7日後の8月19日が伝統的七夕となります。
惑星
水星は13日に内合となり,夕刻の西空から日の出前の東の空へ移動します。8月2日が西方最大離角で,月末には地平線高度が上がってきます。
木星も29日に合となり,夕刻の西空から日の出前の東の空へ移動します。太陽に近く見つけるのは難しいでしょう。
夜明け前の東の空では火星がおうし座を順行中で,1.3〜1.4等くらいの明るさです。
土星はうお座を順行中で,0.8等〜0.6等。だんだん見やすい位置まで上ってくるようになっています。28日に留となった後は,逆行(西向きに移動)に転じます。
土星の環は2025年3月24日の消失(環を真横から見る状態)の後,環を南側から眺める状態となっています。現在はまだ環は細い状態ですが,徐々に環が開いて見やすくなっているところです。
土星の環が次に最大に開いて見えるのは2032年5月頃。環の様子は毎年変わりますので,小望遠鏡があったら土星の様子をスケッチに残しておきましょう。
火星や木星や土星などの惑星は,繰り返しよく見ていると,だんだん目が慣れて模様が見えるようになってきます。スケッチは惑星を見る目を育てるのにとても良い手段です。

27日に準惑星の冥王星がいて座 で衝を迎えます。
冥王星は衝でも暗くて肉眼では見えません。望遠鏡を使っても初心者が見つけるのは難しい惑星ですので,見たい方は公共天文台の観望会などで見せてもらいましょう。
流れ星
夏休みは一年の中でも特に流れ星が多い季節です。
7月下旬には有名なペルセウス座流星群が流れ始めますが,同じ頃にやぎ座α流星群やみずがめ座 δ流星群 なども活動しています。
今年は7月29日が満月で,7月下旬は月明かりの影響が大きく流星観察には悪条件です。
みずがめ座δ流星群 (ZHR=16) の活動期間は7月12日~8月23日。やぎ座α流星群 (ZHR=5) は7月3日~8月15日です。
両方とも派手な流星群ではありませんが,長い期間活動していますので,月明かりの影響を避けながら気長に空を見上げてください。
みずがめ座δ流星群は,ピーク前後数日はピーク程度の活動が見られます。
どちらの流星群も放射点が上がってくるのは21時頃。それくらいの時間から未明までが見やすくなります。
やぎ座もみずがめ座も秋の星座で,輻射点(放射点)が同じ方向にあるため,この二つの群の流星を見分けるのはちょっと大変です。
ですが,もし見分けるのに挑戦するなら流れ星の速さに注目してみましょう。
やぎ座α流星群の群流星は,ゆっくり流れ爆発を伴う火球が見られることもあります。
みずがめ座δ流星群は母天体がマックホルツ彗星(96P/Machholz)で,やぎ座α群の流星より速く流れます。
夏でも山の上などは冷え込みます。寒さ対策をして流星観察をしましょう。
参考:流れ星を見てみよう
世界天文年の流星群:その他の流星群の紹介:国立天文台
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
| 上旬 | おおかみ座・てんびん座 |
|---|---|
| 中旬 | かんむり座・こぐま座・じょうぎ座(☆) ふうちょう座(☆)・へび座頭部 みなみのさんかく座(☆) |
| 下旬 | さそり座 |
見やすい星雲星団
| 惑星状星雲 | M57 (環状星雲,こと座) |
|---|---|
| 散光星雲 | M8 (干潟星雲,いて座) M17 (ω星雲,馬蹄型星雲,いて座) M20 (三裂星雲,いて座) ほか天の川に多数 |
| 散開星団 | M21・M23・M24・M25 (いて座) M6 ・M7 (さそり座) ほか天の川に多数 |
| 球状星団 | M3 (りょうけん座) M4・M80 (さそり座) M5 (へび座),M10・M12 (へびつかい座) M13・M92 (ヘルクレス座) |
| 銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲,りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2026年7月のカレンダー
| 日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
| 1 | 水 | 水星が遠日点を通過(距離 0.467au):18時35分山開き 国民安全の日・全国安全週間 | |
| 2 | 木 | 半夏生(太陽の黄経 100度):05時04分 | |
| 3 | 金 | 三隣亡 | |
| 4 | 土 | 米国独立記念日 | |
| 5 | 日 | 不成就日 | |
| 6 | 月 | 土星(♄)が西矩:19時47分 一粒万倍日 | |
| 7 | 火 | 地球が遠日点を通過(距離 1.017au):02時31分 小暑(太陽の黄経 105度):10時57分 七夕 一粒万倍日・三隣亡 | |
| 8 | 水 | ![]() | 下弦:04時29分 海王星 (♆) が留:13時02分 |
| 9 | 木 | 浅草ほおずき市 十方ぐれ入り | |
| 10 | 金 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:02時12分 水星が地球最近(距離 0.569au):15時53分 一粒万倍日 | |
| 13 | 月 | 水星 (☿) が内合:10時26分 月が最近(距離 0.934):16時57分 精霊祭・迎え火・靖国神社みたままつり 不成就日 | |
| 14 | 火 | ![]() | 新月(朔):18時44分 |
| 15 | 水 | ぼん・祖霊祭 初伏 | |
| 16 | 木 | やぶ入り・えんま詣・送り火 | |
| 18 | 土 | 天一天上 | |
| 19 | 日 | 天しゃ・不成就日・一粒万倍日・三隣亡 | |
| 20 | 月 | 🎌 海の日 夏の土用の入(太陽の黄経 117度):00時48分 夏の土用の入りから立秋までの間に暑中見舞いを出す。 | |
| 21 | 火 | ![]() | 上弦:20時06分 |
| 22 | 水 | 一粒万倍日 | |
| 23 | 木 | 大暑(太陽の黄経 120度):04時13分 | |
| 24 | 金 | 水星 (☿) が留:02時14分 地蔵ぼん | |
| 25 | 土 | 中伏 | |
| 26 | 日 | 月が最遠(距離 1.055):01時45分 土用の丑 | |
| 27 | 月 | 小惑星 (3) ジュノーが衝:01時59分 準惑星 (134340) 冥王星(♇)が衝(いて座,+14等):15時55分 不成就日 | |
| 28 | 火 | 土星 (♄) が留:08時09分 | |
| 29 | 水 | ![]() | 木星(♃)が合:21時18分 満月(望):23時36分 |
| 30 | 木 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:03時52分 | |
| 31 | 金 | 木星が地球最遠(距離 6.301au):00時12分 やぎ座 α流星群🌠が極大 みずがめ座 δ南流星群🌠が極大 一粒万倍日・三隣亡 |
2026年/令和8年/皇紀2686年/平年/ 丙午(ひのえうま)
・海の日 7月の第3月曜日。海の恩恵に感謝するとともに海洋国日本の繁栄を願う。
7月のお話
・文月
・July
・小暑と大暑
・山開き・洗車雨・酒涙雨・送り梅雨・戻り梅雨・梅雨明け・梅雨明け十日・かんかん照り・油照り
・Hay Moon(干し草の満月)
・温風至(あつかぜいたる)
・半夏生(ハンゲショウ)

データ出典
・暦 国立天文台 電算室
・流星 主な流星群一覧(2026年の極大日)|やさしい88星座図鑑
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」の主極小予報 | 天文特集 | 倉敷科学センター
・東京都神社庁選定「神社暦」





