星空解説
7月は劇的に気候が入れ替わる月です。
前半は梅雨の最中。けれど学校が夏休みに入る頃には梅雨明けし,太平洋高気圧に覆われて安定した晴れの日が続きます。
このような梅雨明け後の安定した晴れ続きを,梅雨明け十日と呼びます。夏休みに入ると林間学校やキャンプなどで星を見る機会も増えますね。
今年は7月25日(金)が新月となり,海の日の連休を含む7月後半は星空観望に適しています。
七夕
7月と言えば七夕ですが,現在の暦では梅雨の真っ只中で星が見えないことも多いですね。
今年は7月11日が満月なので,七夕の日は満月前の明るい月明かりがあります。
織り姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)は月明かりや都会の明るい空でも見える星ですが,天の川を見るのは難しいかもしれません。
織り姫と彦星は夏の大三角を形作る星でもあり,見つけるのは難しくありませんので夏の星座を探してみようのページを参考に探してみてください。
ところで,本来の七夕は旧暦(太陰太陽暦)の行事(※)です。
旧暦七夕の頃には梅雨も明けていてよく晴れます。7月7日に星を見るのが難しかったら,8月の伝統的七夕の日を待ちましょう。
今年の旧暦七夕(伝統的七夕)は8月29日です。
※ 旧暦七夕(伝統的七夕):
二十四節気の処暑を含む日かそれよりも前で,処暑に最も近い朔(新月)の瞬間を含む日から数えて7日目が伝統的七夕です。
2025年は8月23日が処暑であり新月なので,7日後の8月29日が伝統的七夕となります。
惑星
4日の夕刻西空で水星が東方最大離角を迎えます。
この日の東京の日没は19時1分で,薄明の中で水星が見え始める19時30分の星図を載せました。水星の地平線高度は11度で,明るさは0等くらい。水星としては見やすい高さと言えます。
しし座を移動中の火星も夜の早い時間帯に西の空に見えています。
明け方の東の空には金星が輝き,土星は南の空に見えています。
うお座 を移動中の土星は,午前3時には南東の空高く,見やすい位置まで上ってきます。明るさは1.0等前後で近くに明るい星はありませんので見つけやすいです。
土星は月明かりや都会の明るい空でも見つけることができ,望遠鏡での観察にも適しています。小望遠鏡があったら低倍率で土星を見てみましょう。
土星の環は2009年に真横から見た後,北から眺める形になっています。2017年に一番大きく広がった姿になり,今年2025年の秋頃には環を真横から見る状態となります。このため望遠鏡で見ても環はほとんど見えません。
環の様子は毎年変わりますので,小望遠鏡があったら環が見えない今年の土星をスケッチに残しておきましょう。
火星や木星や土星などの惑星は,繰り返しよく見ていると,だんだん目が慣れて模様が見えるようになってきます。スケッチは惑星を見る目を育てるのにとても良い手段なのです。
25日に準惑星の冥王星がいて座 で衝を迎えます。
冥王星は衝でも暗くて肉眼では見えません。望遠鏡を使っても初心者が見つけるのは難しい惑星ですので,見たい方は公共天文台の観望会などで見せてもらいましょう。
流れ星
夏休みは一年の中でも特に流れ星が多い季節です。
7月下旬には有名なペルセウス座流星群が流れ始めますが,同じ頃にやぎ座α流星群やみずがめ座 δ流星群 なども活動しています。
今年は7月25日が新月,8月1日が上弦で,7月下旬が月明かりの影響を受けにくく流星観察に良い条件です。
みずがめ座δ流星群 (ZHR=16) の活動期間は7月12日~8月23日。やぎ座α流星群 (ZHR=5) は7月3日~8月15日です。
両方とも派手な流星群ではありませんが,長い期間活動しています。また,みずがめ座δ流星群はピークの前後数日はピーク程度の活動が見られます。
どちらの流星群も放射点が上がってくるのは21時頃。それくらいの時間から未明までが見やすくなります。
やぎ座もみずがめ座も秋の星座で,輻射点(放射点)が同じ方向にあるため,この二つの群の流星を見分けるのはちょっと大変です。
ですが,もし見分けるのに挑戦するなら流れ星の速さに注目してみましょう。
やぎ座α流星群の群流星は,ゆっくり流れ爆発を伴う火球が見られることもあります。
みずがめ座δ流星群は母天体がマックホルツ彗星(96P/Machholz)で,やぎ座α群の流星より速く流れます。
夏でも山の上などは冷え込みます。寒さ対策をして流星観察をしましょう。
参考:流れ星を見てみよう
世界天文年の流星群:その他の流星群の紹介:国立天文台
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
上旬 | おおかみ座・てんびん座 |
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中旬 | かんむり座・こぐま座・じょうぎ座(☆) ふうちょう座(☆)・へび座頭部 みなみのさんかく座(☆) |
下旬 | さそり座 |
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M57 (環状星雲,こと座) |
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散光星雲 | M8 (干潟星雲,いて座) M17 (ω星雲,馬蹄型星雲,いて座) M20 (三裂星雲,いて座) ほか天の川に多数 |
散開星団 | M21・M23・M24・M25 (いて座) M6 ・M7 (さそり座) ほか天の川に多数 |
球状星団 | M3 (りょうけん座) M4・M80 (さそり座) M5 (へび座),M10・M12 (へびつかい座) M13・M92 (ヘルクレス座) |
銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲,りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2025年7月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 火 | 半夏生(太陽の黄経 100度):23時13分 山開き・国民安全の日 | |
3 | 木 | 上弦:04時30分 | |
4 | 金 | 地球が遠日点を通過(距離 1.017au):04時55分 水星 (☿) が東方最大離角(離角 26°56′):13時 天王星と金星が合(離角 2°21′):21時45分 米国独立記念日 | |
5 | 土 | 月が最遠(距離 1.053):11時29分 海王星 (♆) が留:23時30分 | |
7 | 月 | 小暑(太陽の黄経 105度):05時05分 七夕 | |
8 | 火 | 不成就日 | |
9 | 水 | 浅草ほおずき市 | |
11 | 金 | 満月(望):05時37分 | |
12 | 土 | 一粒万倍日・三隣亡 | |
13 | 日 | 精霊祭・迎え火・靖国神社みたままつり | |
14 | 月 | 土星 (♄) が留:16時57分 水星が遠日点を通過(距離 0.467au):21時32分 十方ぐれ入り | |
15 | 火 | ぼん・祖霊祭 一粒万倍日 | |
16 | 水 | やぶ入り・えんま詣・送り火 不成就日 | |
17 | 木 | 水星 (☿) が留:16時23分 | |
18 | 金 | 下弦:09時38分 | |
19 | 土 | 夏の土用の入(太陽の黄経 117度):19時05分 夏の土用の入りから立秋までの間に暑中見舞いを出す。 土用の丑 | |
20 | 日 | 月が最近(距離 0.957):22時55分 初伏 | |
21 | 月 | 🎌 海の日 | |
22 | 火 | 大暑(太陽の黄経 120度):22時29分 | |
23 | 水 | 天一天上 | |
24 | 木 | 地蔵ぼん 天しゃ・不成就日・一粒万倍日・三隣亡 | |
25 | 金 | 新月(朔):04時11分 準惑星 (134340) 冥王星(♇)が衝(いて座,+14等):15時33分 | |
27 | 日 | 一粒万倍日 | |
29 | 火 | 水星が地球最近(距離 0.588au):01時59分 | |
30 | 水 | やぎ座 α流星群🌠が極大 中伏・不成就日 | |
31 | 木 | みずがめ座 δ南流星群🌠が極大 土用の丑 |
2025年/令和7年/皇紀2685年/平年/ 乙巳(きのとみ)
・海の日 7月の第3月曜日。海の恩恵に感謝するとともに海洋国日本の繁栄を願う。
7月のお話
・文月
・July
・小暑と大暑
・山開き・洗車雨・酒涙雨・送り梅雨・戻り梅雨・梅雨明け・梅雨明け十日・かんかん照り・油照り
・Hay Moon(干し草の満月)
・温風至(あつかぜいたる)
・半夏生(ハンゲショウ)
データ出典
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・流星 2024年~2025年の流星群スケジュールと見える可能性 – 宇宙旅行.com
・東京都神社庁選定「神社暦」