文京ほおずき市(源覚寺)

2023年07月の星空

星空解説

 7月前半は梅雨の最中で雨が多く夜も短く,星を見る条件はよくありません。けれど学校が夏休みに入る頃には梅雨明けし,太平洋高気圧に覆われて安定した晴れの日が続くようになります。
  このような梅雨明け後の安定した晴れ続きを,梅雨明け十日と呼びます。夏休みに入ると林間学校やキャンプなどで星を見る機会も増えますね。

 今年は18日(火)が新月,26日(水)が上弦です。
 海の日の連休の頃は月明かりがなく一晩中星空が楽しめます。


七夕

 7月と言えば七夕ですね。
 けれども現在の暦では,七夕は梅雨の真っ只中で星が見えないことも多いですね。

 今年は7月3日が満月で,七夕の日は夜半頃には満月後の大きな月が輝きます。
 7月7日の東京での月の出は22時12分。
 織り姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)は都会の明るい空でもよく見える星ですが,月が輝く前の方が星空を楽しむには良さそうです。
 織り姫と彦星は夏の大三角を形作る星でもあり,見つけるのは決して難しくありません。

ケイト
旧暦七夕の日付は毎年変わるよ!

 晴れ間がのぞいたら,夏の大三角をさがしてみましょう。

 参考: 夏の星座を探してみよう

 ところで,本来の七夕は旧暦(太陰太陽暦)の行事(※)です。

 旧暦七夕の頃には梅雨も明けていてよく晴れます。今年の旧暦七夕(伝統的七夕)は8月22日です。7月7日が雲ったら,8月22日の七夕を待ちましょう。


※ 旧暦七夕(伝統的七夕)
二十四節気の処暑以前で,処暑に最も近い新月を含む日から数えて7日目。


惑星

金星と火星

 金星と火星は夕刻の西空低く見えますが,すぐに沈んでしまいます。20日と21には金星と火星が,月齢2〜3の細い月に次々と接近します。

 20日夕刻の金星は,19時(午後7時)の地平線高度が15度。真西の方角です。日没が遅く薄明の中になりますが,真西の方角が開けた場所で探してみましょう。

金星と月の合(2023年07月20日 19時)
金星と月の合(2023年07月20日 19時)

 火星は金星より暗いため,金星より空が暗くならないと見えません。このため21日の火星はもう少し遅い時間帯に見ることになります。
 方角は同じく真西,20時(午後8時)の火星の地平線高度は10度です。まず月を見つけ,双眼鏡を使って月の近くを探してみると,もう少し早い時間帯でも見つけることができます。

火星と月の合(2023年07月21日 20時)
火星と月の合(2023年07月21日 20時)

木星と土星

 木星おひつじ座を順行しており,明け方の南東の空に -2.3等くらいの明るさで輝いています。
 12日には月齢24の三日月形の月と接近する様子が楽しめます。

 土星みずがめ座を逆行中で,明るさは0.6等くらい。真夜中には南東の空に昇ってきます。

木星と月の合(2023年07月12日 4時)
木星と月の合(2023年07月12日 4時)

 木星も土星も都会の明るい星空でもすぐに見つけることができますし,月明かりや街明かりがあっても支障なく望遠鏡で観察できます。
 小望遠鏡があったら低倍率で木星の衛星の動きや縞模様,土星の環の形を楽しんでみましょう。

 望遠鏡で惑星をとらえたら,是非スケッチをしてみましょう。スケッチをすることにより目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。目の「慣れ」は惑星の模様を観察するのに大切なスキルです。

 望遠鏡で木星を見ると,木星の近くに衛星が見えます。小望遠鏡で見える衛星は ガリレオ衛星(※)と呼ばれる4個の衛星のどれかです。
 望遠鏡を持たない方は,地域にある公共の天文台などが主催する観望会を捜してみましょう。

 土星の環は2009年に真横から見た後,北から眺める形になっています。2017年に一番大きく広がった姿になり,現在は2025年の環の消失に向かって環が年々閉じていっています。
 今年の姿をスケッチなどで残しておくと,年々の移り変わりがよく分かります。

※ ガリレオ衛星
ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星。
木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと名付けられており,ガニメデは太陽系で一番大きな衛星です。イオは活火山があることで知られています。


冥王星

 22日に準惑星の冥王星いて座を迎えます。
 冥王星は衝でも暗くて肉眼では見えません。望遠鏡を使っても初心者が見つけるのは難しい惑星ですので,見たい方は公共天文台の観望会などで見せてもらいましょう。


流れ星

 夏休みは一年の中でも特に流れ星が多い季節です。
 7月下旬には有名なペルセウス座流星群が流れ始めますが,同じ頃にやぎ座α流星群みずがめ座 δ流星群 なども活動しています。

 しかし今年は7月26日が上弦,8月2日が満月。7月下旬からお盆にかけては月明かりの影響を受けます。

 みずがめ座δ流星群 (ZHR=20) の活動期間は7月12日~8月23日。やぎ座α流星群 (ZHR=4) は7月3日~8月15日です。
 両方とも派手な流星群ではありませんが,長い期間活動しています。みずがめ座δ流星群はピークの前後数日はピーク程度の活動が見られます。

ミラ
流れ星は寝転がって見るといいんだよ!

 どちらの流星群も放射点が上がってくるのは21時頃。それくらいの時間から未明までが見やすくなります。

  やぎ座もみずがめ座も秋の星座で,輻射点(放射点)が同じ方向にあるため,この二つの群の流星を見分けるのはちょっと大変です。
 やぎ座α流星群の群流星は,ゆっくりと流れるのが特徴で,爆発を伴う火球が見られることもあります。みずがめ座δ流星群は母天体がマックホルツ彗星(96P/Machholz)で,やぎ座α群の流星より速く流れます。

 ですが,観測するのでなければ群は気にせず,夏休みは流れ星が増える季節だと思って夜空を見上げて楽しむと良いですね。

 夏でも山の上などは冷え込みます。寒さ対策をして流星観察をしましょう。

参考:流れ星を見てみよう


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬おおかみ座・てんびん座
中旬かんむり座・こぐま座・じょうぎ座(☆)
ふうちょう座(☆)・へび座頭部
みなみのさんかく座(☆)
下旬さそり座

夏の星座
夏の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲M57 (環状星雲,こと座)
散光星雲M8 (干潟星雲,いて座)
M17 (ω星雲,馬蹄型星雲,いて座)
M20 (三裂星雲,いて座)
ほか天の川に多数
散開星団M21・M23・M24・M25 (いて座)
M6 ・M7 (さそり座)
ほか天の川に多数
球状星団M3 (りょうけん座)
M4・M80 (さそり座)
M5 (へび座),M10・M12 (へびつかい座)
M13・M92 (ヘルクレス座)
銀河(系外星雲)M51 (子もち星雲,りょうけん座)
M101 (おおぐま座)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2023年7月のカレンダー

日 曜日月相天文現象
1水星(☿)が外合:14時6分
山開き・国民安全の日
2半夏生(太陽の黄経 100度):11時36分
水星が地球最遠(距離 1.328au):23時58分
3満月のイメージ満月:20時39分
4八せん終り
5月が最近(距離 0.937):7時25分
陰遁(いんとん)始め
7地球が遠日点を通過(距離 1.017au):5時07分
小暑(太陽の黄経 105度):17時31分
七夕
8不成就日
9浅草ほおずき市
10下弦の月のイメージ下弦:10時48分
浅草観音四万六千日
11初伏・一粒万倍日・三隣亡
12木星と月の合(離角 -2°04′):5時4分
13精霊祭・迎え火・靖国神社みたままつり
14一粒万倍日
15ぼん
16藪入り・えんま詣・送り火
不成就日
17🎌 海の日
18新月のイメージ新月:3時32分
20夏の土用の入(太陽の黄経 117度):7時26分
夏の土用の入りから立秋までの間に暑中見舞いを出す。
月が最遠(距離 1.057):15時57分
金星と月の合(離角 -7°19′):23時8分
21火星と月の合(離角 -2°58′):15時36分
中伏
22準惑星 (134340) 冥王星(♇)がいて座,+14等):12時52分
23大暑(太陽の黄経 120度):10時50分
不成就日・一粒万倍日・三隣亡
24地蔵ぼん
25十方ぐれ入り
26上弦の月のイメージ上弦:7時07分
一粒万倍日
30土用の丑
31やぎ座 α流星群🌠が極大
みずがめ座 δ流星群🌠が極大
不成就日

2023年/令和5年/皇紀2683年/平年/ 癸卯(みつのとう)

惑星用語の説明
月の形の変化について

7月のお話

文月
July
小暑と大暑
山開き・洗車雨・酒涙雨・送り梅雨・戻り梅雨・梅雨明け・梅雨明け十日・かんかん照り・油照り
Hay Moon(干し草の満月)
温風至(あつかぜいたる)
半夏生(ハンゲショウ)

文京ほおずき市(源覚寺)
文京ほおずき市(源覚寺)

データ出典

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・流星 流星電波観測国際プロジェクト
・アルゴル極小 予報 – 日本変光星研究会
・東京都神社庁選定「神社暦」