星空解説
7月前半は梅雨の最中で雨が多く夜も短く,星を見る条件はよくありません。けれど学校が夏休みに入る頃には梅雨明けし,太平洋高気圧に覆われて安定した晴れの日が続くようになります。
このような梅雨明け後の安定した晴れ続きを,梅雨明け十日と呼びます。夏休みに入ると林間学校やキャンプなどで星を見る機会も増えますね。
今年は14日(日)が上弦,21日(日)が満月です。
海の日の連休の頃は夜半には月明かりがなくなります。また月末が近づくにつれて月の出が遅くなりますので夜半前の時間帯が星空観望にお勧めです。
七夕
7月と言えば七夕ですが,現在の暦では梅雨の真っ只中で星が見えないことも多いですね。
今年は7月6日が新月なので,七夕の日は月明かりがなく星空観望を楽しめます。
織り姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)は都会の明るい空でもよく見える星ですので晴れたら夜空を見上げてみましょう。
織り姫と彦星は夏の大三角を形作る星でもあり,見つけるのは決して難しくありません。
参考: 夏の星座を探してみよう
ところで,本来の七夕は旧暦(太陰太陽暦)の行事(※)です。
旧暦七夕の頃には梅雨も明けていてよく晴れます。今年の旧暦七夕(伝統的七夕)は8月10日です。7月7日が雲ったら,8月10日の伝統的七夕を待ちましょう。
※ 旧暦七夕(伝統的七夕):
二十四節気の処暑の直前の新月の日を1日目とし,その日から数えて7日目。
2024年は8月22日が処暑,8月4日が新月なので,10日が伝統的七夕となります。
惑星
22日に東方最大離角となる水星が7月10日〜16日に見頃となります。日没後30分の東京での地平線高度が10度を超え,明るさは0.0〜0.2等です。
金星は夕刻の西空低く観察は難しそうです。
火星はおひつじ座 からおうし座 を移動中で,夜明け前の東の空に見ることができます。
木星もおうし座 を移動中で,同じく夜明け前の東の空です。
土星はみずがめ座 を逆行中で,明るさは0.9〜0.8等。真夜中には南東の空に昇ってきます。
土星は都会の明るい星空でもすぐに見つけることができますし,月明かりや街明かりがあっても支障なく望遠鏡で観察できます。
小望遠鏡があったら低倍率で土星の環の形を楽しんでみましょう。
土星の環は2009年に真横から見た後,北から眺める形になっています。2017年に一番大きく広がった姿になり,現在は2025年秋の環の消失に向かって環が年々閉じていっています。
今年の姿をスケッチなどで残しておくと,年々の移り変わりがよく分かります。
23日に準惑星の冥王星がいて座 で衝を迎えます。
冥王星は衝でも暗くて肉眼では見えません。望遠鏡を使っても初心者が見つけるのは難しい惑星ですので,見たい方は公共天文台の観望会などで見せてもらいましょう。
流れ星
夏休みは一年の中でも特に流れ星が多い季節です。
7月下旬には有名なペルセウス座流星群が流れ始めますが,同じ頃にやぎ座α流星群やみずがめ座 δ流星群 なども活動しています。
今年は7月28日が下弦,8月4日が新月。7月下旬からお盆にかけて月明かりの影響を受けにくく,流星観察には良い条件となります。
みずがめ座δ流星群 (ZHR=20) の活動期間は7月12日~8月23日。やぎ座α流星群 (ZHR=4) は7月3日~8月15日です。
両方とも派手な流星群ではありませんが,長い期間活動しています。みずがめ座δ流星群はピークの前後数日はピーク程度の活動が見られます。
どちらの流星群も放射点が上がってくるのは21時頃。それくらいの時間から未明までが見やすくなります。
やぎ座もみずがめ座も秋の星座で,輻射点(放射点)が同じ方向にあるため,この二つの群の流星を見分けるのはちょっと大変です。
やぎ座α流星群の群流星は,ゆっくりと流れるのが特徴で,爆発を伴う火球が見られることもあります。みずがめ座δ流星群は母天体がマックホルツ彗星(96P/Machholz)で,やぎ座α群の流星より速く流れます。
ですが,観測するのでなければ群は気にせず,夏休みは流れ星が増える季節だと思って夜空を見上げて楽しむと良いですね。
夏でも山の上などは冷え込みます。寒さ対策をして流星観察をしましょう。
参考:流れ星を見てみよう
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
上旬 | おおかみ座・てんびん座 |
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中旬 | かんむり座・こぐま座・じょうぎ座(☆) ふうちょう座(☆)・へび座頭部 みなみのさんかく座(☆) |
下旬 | さそり座 |
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M57 (環状星雲,こと座) |
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散光星雲 | M8 (干潟星雲,いて座) M17 (ω星雲,馬蹄型星雲,いて座) M20 (三裂星雲,いて座) ほか天の川に多数 |
散開星団 | M21・M23・M24・M25 (いて座) M6 ・M7 (さそり座) ほか天の川に多数 |
球状星団 | M3 (りょうけん座) M4・M80 (さそり座) M5 (へび座),M10・M12 (へびつかい座) M13・M92 (ヘルクレス座) |
銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲,りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2024年7月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 月 | 半夏生(太陽の黄経 100度):17時31分 山開き・国民安全の日 三隣亡 | |
4 | 木 | 米国独立記念日 己巳・不成就日・一粒万倍日 | |
5 | 金 | 地球が遠日点を通過(距離 1.017au):14時06分 一粒万倍日 | |
6 | 土 | 新月(朔):07時57分 準惑星 (1) ケレスが衝 :09時04分 小暑(太陽の黄経 105度):23時20分 | |
7 | 日 | 七夕 | |
8 | 月 | 一粒万倍日 | |
9 | 火 | 浅草ほおずき市 | |
10 | 水 | 金星が近日点を通過(距離 0.718au):14時13分 浅草観音四万六千日 | |
11 | 木 | 不成就日 | |
12 | 金 | 月が最遠(距離 1.052):17時11分 | |
13 | 木 | 精霊祭・迎え火・靖国神社みたままつり | |
14 | 日 | 上弦:07時49分 | |
15 | 月 | 🎌 海の日 天王星と火星が合(離角 0°32′):23時05分 ぼん・祖霊祭・初伏 | |
16 | 火 | やぶ入り・えんま詣・送り火 | |
17 | 水 | 一粒万倍日・三隣亡 | |
19 | 金 | 夏の土用の入(太陽の黄経 117度):13時17分 夏の土用の入りから立秋までの間に暑中見舞いを出す。 十方ぐれ入り・不成就日 | |
20 | 土 | 一粒万倍日 | |
21 | 日 | 満月(望):19時17分 | |
22 | 月 | 水星 (☿) が東方最大離角(離角 26°56′):15時 大暑(太陽の黄経 120度):16時44分 | |
23 | 火 | 準惑星 (134340) 冥王星(♇)が衝(いて座,+14等):14時38分 | |
24 | 水 | 月が最近(距離 0.949):14時41分 土用の丑・地蔵ぼん | |
25 | 木 | 土星食 中伏 | |
26 | 金 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:03時04分 | |
27 | 土 | 不成就日 | |
28 | 日 | 水星が遠日点を通過(距離 0.467au):00時29分 下弦:11時52分 天一天上 | |
29 | 月 | 天しゃ・一粒万倍日・三隣亡 | |
31 | 水 | やぎ座 α流星群🌠が極大 みずがめ座 δ南流星群🌠が極大 |
2024年/令和6年/皇紀2684年/閏年/ 甲辰(きのえたつ)
・海の日 7月の第3月曜日。海の恩恵に感謝するとともに海洋国日本の繁栄を願う。
7月のお話
・文月
・July
・小暑と大暑
・山開き・洗車雨・酒涙雨・送り梅雨・戻り梅雨・梅雨明け・梅雨明け十日・かんかん照り・油照り
・Hay Moon(干し草の満月)
・温風至(あつかぜいたる)
・半夏生(ハンゲショウ)
データ出典
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」観測ガイド(倉敷科学センター)
・東京都神社庁選定「神社暦」