こぐま座

  • 学 名:Ursa Minor(ウルサ・ミノール)
  • 略符号:UMi
  • 英語名:the Little Bear / the Lesser Bear
  • 設定者:プトレマイオス(トレミー)
  • 20時南中:7月13日
こぐま座の絵入り星図
こぐま座

 北極星を含むこぐま座 は,柄杓(ひしゃく)の形を描く七つの星で形づくられ,大きさも明るさも北斗七星の小型版といった感じです。このページの星図では5等以下の星を表示していませんので六つの星になっていますが,暗い星も見える空なら,七つ目の星もちゃんと見えますよ。北斗七星から北極星を探して,他の星は北極星からたどってみて下さい。
 こぐま座 を探すときは北を向くことになりますので,星図は北を下に,南を上にして作っています。

 ギリシア神話によると,こぐま座 は,おおぐま座 になった美しいニンフ,カリストの息子のアルカスの姿です。
 カリストは月と狩りの女神アルテミスの侍女で,狩りが得意なたいへん美しい娘でした。ところが,野山で狩りをするカリストの美しさ惹かれた大神ゼウスは,アルテミスに化けてカリストに近づきます。やがてカリストは男の子を産みますが,ゼウスの妻ヘラの怒りにふれ,熊の姿に変えられてしまいました。

 カリストが生んだ男の子アルカスは,時が過ぎると狩りの名手に成長します。そして,自分の母とも知らずに森の中で出会った熊に向かって槍をかまえることになるのです。これを見たゼウスは,母殺しの罪を犯させまいと,アルカスも熊に変え二人を星座ににして空へ上げたのでした。
 ただ,星座になってもヘラの怒りはとれず,大熊と小熊は地平線下に沈んで休むことを許されず,天を回り続けているのだということです。

こぐま座周辺の星図
こぐま座周辺

 探し方を覚えたら,こちらの星図でこぐま座 を見つけてみましょう。

こぐま座周辺の星図,星座線無
こぐま座周辺(星座線無)

こぐま座の星の名前

アラビア語の英語表記:アルファベット下のドットは”.”で,母音の長音符は直後に”_”を付記し代用
星名 一般名 意味 派生 光度 スペクトル 距離 絶対等級
α ポラリス
Polaris

キノスラ
Cinosura

アルルッカバ
Alruccaba

極の星

犬の尾

北の星

ラテン語

ギリシャ語

アラビア語

2.04
(Var)
F8* 800 -3.2
β コカブ
Kochab
北の星 アラビア語 2.07 K4* 65 -0.5
γ フェルカド
Pherkad
子牛 アラビア語 3.04
(Var)
A3* 180 -1.5
δ Pherkad
Yildum
4.35 A3* 330

光度: Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition)
スペクトル: 
 * Yale Catalogue of Bright Stars, (3nd edition)
 ** Yale Catalogue of Bright Stars (4th edition, Hoffleit,D.and Jaschek,C.1982, Yale University Observatory)
 *** A List of MK Standard Stars (Garcia,B.1989, Bull.Inform.CDS,No.36)
距離および絶対等級: 『星座ガイドブック』誠文堂新光社,『星百科大事典 改定版』地人書館より抜粋。データが古いため参考までに。

 α星ポラリス(Polaris,北極星)は,“極の星”というラテン語のステラ・ポラリス(Stella Polaris)が語源。
航海で方角を知るために利用されることから,ステラ・マリス(Stella Maris,海の星),ナヴィガトリア(Navigatoria,航海を導く星),シップ・ステオラ(船星,アングロサクソン族),などという呼び方も各国で知られる。
 また,別名キノスラ(Cinosura,Cynosura)は“犬の尾”という意味のギリシア語をラテン文字音写したもので,17~18世紀に使われていた名前。
 アラビア語由来の名アルルッカバは,“北の星”を意味するアル・カウカブ・アル・シャマリーが語源でバイエルの命名。もともとは,β星の名であったとも言われる。

 β星コカブ(kochab, Kocab, Kockab)は,“北の星”を意味するアラビア語,アル・カウカブ・アル・シャマリー(Al Kaukab al Shama_liyy)が語源。紀元前1500年から紀元前300年頃にかけて,この星が天の北極に位置していたことからついた名前。
 他に,ポロス(北極の光,ギリシャ名),アル・ファルカド(忠実の象徴,アラビア名),アルナイル・アル・ファルカダイン(2匹の子牛のうち明るい牛),キルキトレス(回るもの,ラテン語),サルタトレス(とびまわるもの,ラテン語),ルデンテス(踊るもの,ラテン語)などの名前がある。

 γ星フェルカド(Pherkad)は,“子牛”を意味するアラビア語,アル・フェルカド(Al Fark.ad)が語源。β星・γ星を二つ合わせて“二匹の子牛”(アル・フェルカダニ,Al Farkada_ni)と呼んでいた。この場合,β星は“光った方の子牛”(アンワル・アル・ファルカダイン,Anwa_r al Fark.ada_in)と呼ぶ。
 β星と合わせて呼び名前は多数知られており,英語では,β星と合わせて the Guards of the Pole(極の守護者たち)と呼ぶ。

こぐま座の星の和名

α星の和名

  • 北辰(ほくしん)
  • 北辰様(ほくしんさま)
  • 北辰菩薩(ほくしんぼさつ)
  • 北辰妙見菩薩(ほくしんみょうけんぼさつ)
  • 妙見(みょうけん)
  • 妙見星(みょうけんぼし)
  • 北極様(ほっきょくさま)
  • 北星(ほくせい)
  • 北極星(ほっきょくせい)
    “北辰”は中国名で,日本では平安時代の星祭以降使われていた。辰は星を意味し,北辰は徳の象徴として信仰の対象だった。これが妙見と同一視されるようになり,やがて北辰妙見として信奉され,近代になって北極星として航海術に用いられるようになる。
    北辰・北辰様・北辰菩薩は,静岡・埼玉・群馬,北辰妙見菩薩は浜松市。
    妙見・妙見星は,大分・広島・佐渡・静岡・長野・青森など。
    北極様は静岡県舞阪,北星は青森県東津軽。
  • 子の星(ねのほし,ねのふし)
  • 子星(ねぼし)
  • 子の方の星(ねのほうのほし,にのほのほし,ねぬほうぶし,にぬふぁぬふし)
  • 北の子の星(きたのねのほし)
  • 子の星さん(ねのほしさん)
  • 真北は十二支で子に当たることから呼ばれた名前。
    沖縄・奄美・九州各地,愛媛・広島・岡山・福井・静岡・茨城・福島・岩手・青森などの各地に見られ,沖縄,奄美大島へ行くと,ネノフシ,ネヌホーブシ,ニヌファヌフシのように訛る。
    ニノホノホシは福井県の盆唄に残る名前で,“ね”が“に”に訛っている。

  • 一つ星(ひとつぼし)
  • 一つの星(ひとつのほし)
  • 北の一つ星(きたのひとつほし,きたにひとつぼし)
  • 一の星(いちのほし)
    “一つ星”は,九州地方・和歌山・静岡・福島・岩手・青森などの各県で見られる名前で,“一つの星”とか“一つ”と略されたりする。
    “北の一つ星”も南は鹿児島から,和歌山・三重・静岡・千葉・群馬・青森と広く分布する名前で,瀬戸内海の島々や大隅地方では,訛ってキタニヒトツボシと言う。
    “一の星”は茨城県。ここではβ星のことを“二の星”,γ星のことを“三の星”と呼んでいる。
  • 北の星(きたのほし)
  • 北星(きたぼし)
  • 北の明星(きたのみょうじょう)
  • 北の明神(きたのみょうじん)
  • 北の大星(きたのおおぼし)
  • 北の一ちょん星(きたいっちょんぼし)
  • 北の一点(きたのいってん)
    “北の星”“北星”は,鹿児島・大分・瀬戸内海地方・愛知・静岡・福島・青森など広く分布している名前。北斗七星に使われることもある。
    明るい星であるという形容をつけると“北の明星”“北の明神”“北の大星”となり,瀬戸内地方や日本海沿岸各地,静岡などで見つかっている。
    “北のいっちょん星”は長野県,“北の一点”は青森県の名前。
  • 目当て星(めあてぼし)
  • 北の目当て星(きたのめあてぼし)
  • 目印星(めじるしぼし)
  • 方角星(ほうがくぼし)
    何れも,北の一点にとどまる動かぬ目標の星と見た名前。
    “目当て星”は静岡・岩手・青森など,“北の目当て星”は京都府,“目印星”は富山県,“方角星”は福井県。
  • 心星(しんぼし)
  • 心棒(しんぼう)
    日周運動の中心の星と見た名前。
    “心星”は岡山・愛知・静岡・福井・青森,“心棒”は島根県。

β星・γ星の和名

  • 二の星・三の星(にのほし・さんのほし)
    α星を“一の星”と呼んでいる茨城県での名前。
  • 矢来星,遣らい星(やらいぼし,やろぼし,じゃろっぼし,やえのほし)
  • 矢来の星(やらいのほし,やよいのほし)
  • やれーの二つ星(やれーのふたつぼし)
    β星とγ星は北極星と北斗七星の間にあって,北極星から北極星を守っているように見えるためについた名前で,香川・広島・岡山・三重・静岡・福井・岩手など日本全国に広く分布する。
    北斗七星が北極星を取って食おうとしているところを邪魔している,とか,北斗七星が北極星を責めようとするのを防いでいる,と見る。
    野尻抱影氏は,“やらい”を,寄せ付けないという意味の“遣らい”ではないかと推察したが,一般には,昔の在任の仕置き場にある竹矢来の“矢来”であると理解されていたらしい。
    “やれーの二つ星”と呼んだのは宮城県の漁夫で,通さない星の意味だという。
    “ジャロッボシ”は岩手県,“ヤエノホシ”“ヤヨイボシ”は鹿児島県枕崎で,“やらいぼし”が訛った名前。
  • 番の星(ばんのほし)
    瀬戸内地方・岡山・静岡・神奈川・岩手などの各地で見られる名前。

参考
●『星の方言集 日本の星』野尻抱影著 中央公論社(1973)
●『日本星名辞典』野尻抱影著 株式会社東京堂出版(1973)
●『星座ガイドブック 秋冬編』藤井旭著 誠文堂新光社(1975)

こぐま座の変光星

GCVS (General Catalogue of Variable Stars) より
変光星名 変光星型 光度範囲 周期 スペクトル 備考
α DCEPS 1.86-2.13 3.9696 F7IB-F8IB 北極星
R SRB 8.5-11.5 325.7 M7IIIE
U M 7.1-13.0 330.92 M6E-M8E

変光星型 DCEPS:ケフェウスδ型,SR:半規則型変光星,M:ミラ型
スペクトル型の前後の記号 接尾記号 E :スペクトルに輝線あり

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