六月というと,日本では梅雨の季節ですね。沖縄や奄美大島地方などは五月のうちに梅雨入りしますが,六月に入ると梅雨前線は九州に上陸し,日本列島を北上していきます。
ところが,この梅雨の季節六月が,陰暦では水無月(みなづき)と呼ばれます。雨ばかり降っているのに水が無い月とは,ちょっと不思議ですね。
実は,「水無月」という漢字は後世になってつけられた当て字で,「みなづき」は,本来「田んぼに水を引く月」という意味だったようです。
「な」は古い形の格助詞で,「の」と置き換えて読むことができるのです。
また,陰暦の季節は現在の季節と1ヶ月ほどずれており,水が無い月は,ひと月遅れた七月の梅雨明け直後の晴天を指しているという説もあります。
日本では雨の季節となる六月ですが,英米ではバラが咲き乱れる美しい季節です。
欧米の六月は学校の卒業の時期と良い気候が重なるため,結婚式が多く行われます。“June bride”(ジューン・ブライド:六月の花嫁)という言葉は日本でもよく知られていますね。
“June”は,結婚を司るローマ神話の女神「Juno(ジュノー)」にちなむ月であるため,June bride は Juno に守られ幸せになれると言われ祝福されます。
六月には水無月の他にも様々な異称がありますので,列挙しておきましょう。
・弥涼暮月(いすずくれづき) 涼しい暮れ方の月。
・炎陽(えんよう) 夏の太陽が照りつける月。
・風待月(かぜまちづき/かざまちづき) 暑さゆえ涼しい風を待つ月。
・建未月(けんびづき) 未(ひつじ)の月。
・水月(すいげつ)
・涼暮月(すずくれづき)
・蝉羽月(せみのはつき) 蝉の羽衣のような薄い着物を着る月。
・田無月(たなしづき)
・旦月(たんげつ)
・常夏月(とこなつづき)
・鳴神月(なるかみづき) 雷鳴が多い月。
・鳴雷月(なるかみづき) 雷鳴が多い月。
・晩月(ばんげつ)
・伏月(ふくげつ)
・松風月(まつかぜづき) 暑さゆえ風を待つ(松)月。
・陽氷(ようひょう)
・夏越の月(なごしのつき)
6月のお話
・June
・芒種と夏至
・入梅・梅雨・五月雨
・Full Flower Moon(花の満月)
・螳螂生(かまきりしょうず)
・サクサイワマンの太陽の祭
・聖ヨハネ祭(St.John’s Day)と Midsummer Day