2018年12月の星空

 2日の明け方の空で金星が最大光度を迎えます。内惑星は内合の前後に地球に近づき見かけの大きさが大きくなって明るくなります。しかし水星は最大離角の時でさえ見るのが難しいので,最大光度を楽しめる惑星は金星だけです。
 今年のの金星は,9月21日の夕刻西空で最大光度を迎え,10月25日の内合を挟んで,12月2日明け方の東の空で2回目の最大光度となります。最大光度の金星に望遠鏡を向けると細い三日月形を楽しむことができます。

金星最大光度(2018-12-15)
金星最大光度(2018-12-15)

 13日に近日点を通過する46P/ビルタネン周期彗星(46P/Wirtanen)は,2018年で最も明るくなることが期待されている彗星です。
 ビルタネン周期彗星は公転周期5.44年で,1946年に発見されて以降,回帰のたびに発見されていて,今回が12回目の回帰です。12月16日には地球に0.078auまで接近し,3等級まで明るくなることが予想されています。
 彗星は3等級でも明るい部分がぼんやり広がっていて3等星の恒星のように見やすくありませんので,双眼鏡などを準備して探してみて下さい。近日点通過前後の彗星の動きは速いので,下の星図に12月の位置を5日おきに示しました。図はクリックすると拡大して見ることができます。

2018年12月の46P/ビルタネン周期彗星
2018年12月の46P/ビルタネン周期彗星

 毎年師走の空を飾るふたご座α流星群は,今年は14日の21時がピーク。副ピークは15日明け方です。上弦前の月は23時半には地平線下へ没するため,最良の条件で予想HRは70個となっています。14日は金曜日なので曜日まわりにも恵まれています。
 ふたご座流星群は明るい流星が多いのですが,近年は火球も増えていっそう華やかになってきています。12月5日頃には活動期に入り20日頃まで続き,一晩中コンスタントに流れる安定した流星群です。12月は日没が早く夜が長い季節でもありますから,機会があったら空を見上げてみてください。偶然明るい流星に出会えるかもしれません。
 流星観察については 流れ星を見てみよう をご参照ください。

 ふたご座流星群が活動を終える頃,一年の最後を締めくくるこぐま座流星群が流れ始めます。こぐま座流星群は8P/タットル彗星を母天体とする流星群ですが,今年は極大と満月が重なり条件最悪です。
 明るい流星が北天から緩やかに流れるHR=5個程度の小さな流星群で火球が流れることもあるのですが,今年は観察しにくそうです。極大の少し前,23日午前4時~5時頃に活動がやや活発になるとの予測もあります。

 15日には明け方の東の空で水星が西方最大離角を迎えます。この日の午前6時の地平線高度が約9°。十分に低い位置ですが水星としては高い位置に見えますので,双眼鏡などを使って探してみましょう。木星や最大光度を迎えたばかりの金星も見えています。

水星の西方最大離角(2018-12-15)
水星の西方最大離角(2018-12-15)

 16日19日に相次いで,有名な長周期変光星(ミラ型),はくちょう座χ 及びミラ(くじら座ο)が極大を迎えます。
 長周期変光星は恒星の脈動によって明るさが変わる変光星で,明るさの変動がとてもダイナミックです。ミラもはくちょう座Χも暗い時期は見えませんが,極大の頃は肉眼で見ることもできるほどの明るさになります。長周期変光星の極大は,極大予想の当日だけ明るくなるといったものではなく,明るい状態は極大前後1ヶ月くらい続き,実際の極大日は観測結果に基づき後から割り出されます。
 ミラの極大周期は約11ヶ月なので,今年は1月にも極大があり,年に2回極大となる珍しい年です。1月の極大では3等代まで明るくなって肉眼でもよく見えました。はくちょう座は夏の星座ですが夕刻はまだ見えていますし,くじら座はちょうど見頃です。
 変光星の観測については 変光星を見よう をご覧ください。

 はくちょう座χとミラの位置です。星図はクリックして拡大してください。

はくちょう座χ(χ Cyg)
はくちょう座χ(χ Cyg)
ミラ(ο Cet)
ミラ(ο Cet)

南中する星座

 午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
 ☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬 カシオペヤ座ほうおう座
中旬 くじら座さんかく座
下旬 おひつじ座・みずへび座(☆)・ろ座

冬の星座 冬の全天星図
 
 

見やすい星雲星団

散光星雲 M42 (オリオン大星雲,オリオン座)
散開星団 M34 (ペルセウス座),h-χ (二重星団,ペルセウス座),M45 (プレアデス,すばる,おうし座)
銀河(系外星雲) M31 (アンドロメダ大星雲,アンドロメダ座),M33 (さんかく座),M74 (うお座),M77 (くじら座)

星雲星団を見よう 星雲星団一覧表
 
 


 
惑星用語の説明 月の形の変化について
 

天文現象
2 金星が最大光度(-4.7等):13時28分
7 新月のイメージ 大雪:13時26分。太陽の黄経が 255度になる。
新月:16時20分
9 海王星が東矩:2時21分
アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:5時43分
10 火星が東矩:9時33分
12 月が最遠:21時25分(視直径29分30秒,1.054)
13 46P/ビルタネン周期彗星が近日点を通過
14 ふたご座α流星群が極大:21時(条件最良)
アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:23時21分
15 上弦の月のイメージ 水星が西方最大離角:2時30分(-0.4等,離角21°.3 )
上弦:20時49分
16 はくちょう座 χ(周期410日,変光範囲3.3等-14.2等)が極大光度
17 アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:20時10分
18 くじら座 ο(ミラ,周期332日,変光範囲2.0等-10.1等)が極大光度
20 アルゴル型食変光星 アルゴルが極小光度:16時59分
21 水星と木星が接近(0°52’):20時32分
22 冬至:7時23分。太陽の黄経が 270度になる。
23 満月のイメージ 天皇誕生日
満月:2時49分
こぐま座流星群が極大(条件最悪):6時
24 休日
月が最近:18時49分(視直径33分04秒,0.939)
29 下弦の月のイメージ 下弦:18時34分