篝火花(カガリビバナ/シクラメン)

2025年12月の星空

星空解説

 夜が長い12月は,星空観察に良い季節です。
 明るい星が多い豪華な冬の星座達も,早い時間帯から見られるようになります。寒さ対策をしっかりして星を見ましょう。

一年で一番日の入りが早い季節

 12月22日の冬至の日は,昼が一番短く夜が一番長い日ですが,日没が一番早いのは11月下旬〜12月上旬です。
 また日の出時刻が一番遅いのは1月上旬です。

 2025年の東京は,11月29日〜12月13日の16時28分が最も日没が早い時期となります。

 表からわかるように一番早い期間は2週間ほど続きますが,その期間が終わると日没時刻は春に向かってどんどん遅くなっていきます。

年月日(期間)日の出時刻
2025-11-23 〜 2025-11-2416:30
2025-11-25 〜 2025-11-2816:29
2025-11-29 〜 2025-12-1316:28
2025-12-14 〜 2025-12-1616:29
2025-12-17 〜 2025-12-1816:30
2025-12-19 〜 2025-12-2116:31
2025-12-22 〜 2025-12-2316:32
2025-12-2416:33
2025-12-25 〜 2025-12-2616:34
2025-12-2716:35
2025-12-28 〜 2025-12-2906:36

惑星

 金星と火星は太陽に近く観察は難しいでしょう。

夜明けの水星

 水星は8日に西方最大離角を迎え,その前後は東京における日の出30分前の地平線高度が10度を超え見やすくなります。明るさは0.1〜-0.5等です。
 南東の地平線近くを双眼鏡を使って探してみましょう。12月は日の出が遅いので,ちょっと早起きするだけで水星が見られます。

西方最大離角の水星(2025-12-08 06:00)
西方最大離角の水星(2025-12-08 06:00)

土星と木星

ミラ
土星は宵の口,木星は夜遅く!

 土星みずがめ座を順行(東に移動)しており,明るさは1.0等くらい。夜の早い時間帯に南西の空に見えています。

 木星はふたご座を逆行中で,明るさは-2.5等くらい。夜半前には東の空高く上っています。

 土星も木星も都会の街明かりの下でもすぐに見つけられます。小望遠鏡でも捉えやすく,低倍率で縞模様や衛星を見ることができます。

土星(2025-12-15 19:00)
土星(2025-12-15 19:00)
木星(2025-12-15 22:00)
木星(2025-12-15 22:00)

 望遠鏡で惑星をとらえたら,是非スケッチをしてみましょう。
 スケッチのために一生懸命見ているうちに目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われます。

 今年は土星の環は見えませんが,来年は環が開いて今年よりずっと見えやすくなってきます。スケッチで今年の土星の姿を残しておきましょう。
 木星は縞模様の他に衛星が見えることがあります。もし衛星が見えたら, ガリレオ衛星と呼ばれる4個の衛星のどれかです。

  ガリレオ衛星とは,望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星で,木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
 ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。


流星群

ふたご座α流星群

 師走の空を飾るふたご座α流星群は,14日17時頃に極大を迎えます。
 見頃は13日深夜〜14日未明と14日深夜〜15日未明。1時間に40~50個程度が予想されています。12日が下弦で比較的好条件です。

ケイト
フェアトンは塵を出し尽くした彗星のなれの果てなんだって。

 ふたご座α流星群の活動期間は12月5日頃から12月20日頃までです。冬の星座であるふたご座に流星群の放射点があるため,一晩中,全ての方角でコンスタントに流れるのが特徴です。
 ピークを過ぎると流星数は急に減っていきますので,極大日にこだわらず,晴れた夜に空を見上げてみても良いでしょう。近年は火球も増え,いっそう華やかな流星群になってきています。


 流星観察については 流れ星を見てみよう をご参照ください。

 ふたご座流星群の母天体,小惑星(3200)フェアトンは,1.43年周期で楕円軌道を描いて公転しており,今世紀末の2093年12月14日に地球にかなり接近することが予想されています。
 また2223年には軌道が地球に近づくことも予想され,今後ともふたご座α流星群と共に目が離せない存在です。


こぐま座流星群

 ふたご座流星群が活動を終える頃,一年を締めくくるこぐま座流星群が流れ始めます。こぐま座流星群は8P/タットル彗星を母天体とする流星群です。

 今年は23日01時頃にピークが予想されています。20日が新月なので月明かりに悩まされることなく星空観望と共に楽しめます。

 こぐま座流星群の流星は北天から緩やかに流れます。ZHR=10で,実際に見える流れ星は1時間に1~2個くらい。小さな流星群ですが火球が流れることもあります。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬カシオペヤ座ほうおう座
中旬くじら座さんかく座
下旬おひつじ座・みずへび座(☆)・ろ座

冬の星座
冬の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲
散光星雲M42 (オリオン大星雲,オリオン座)
散開星団M34 (ペルセウス座)
h-χ (二重星団,ペルセウス座)
M45 (プレアデス星団,すばる,おうし座)
球状星団
銀河(系外星雲)M31 (アンドロメダ大星雲,アンドロメダ座)
M33 (さんかく座)
M74 (うお座)
M77 (くじら座)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2025年12月のカレンダー

曜日月相天文現象
1映画の日
不成就日
4月が最近(距離 0.929):20時07分
人権週間
5満月のイメージ満月(望):08時04分
納めの水天宮
6一粒万倍日
7大雪(太陽の黄経 255度):06時05分
8水星 (☿) が西方最大離角(離角 -20°44′):06時
こと納め・針供養・納めの薬師
一粒万倍日
9皇后御誕生日
旧えびす講・旧誓文払(せいもんばらい)
八せん始め・不成就日・一粒万倍日
10納めの金比羅
11海王星(♆)が留:09時21分
三隣亡
12下弦の月のイメージ下弦:05時52分
14ふたご座α流星群🌠が極大:17時
15年賀郵便特別扱始め
17土星(♄)が東矩:13時34分
月が最遠(距離 1.057):15時09分
小惑星 (3) ジュノーが:15時18分
浅草観音歳の市(羽子板市)
庚申・不成就日
18納めの観音
20新月のイメージ新月(朔):10時43分
八せん終り・一粒万倍日
21海王星(♆)が東矩:10時02分
納めの大師
陽遁(ようとん)始め・甲子
天しゃ・一粒万倍日
22冬至(太陽の黄経 270度):00時03分
冬至星供(ほしく)祭
23こぐま座流星群🌠が極大:01時
三隣亡
24納めの地蔵
不成就日
25終い天神・基督降誕祭
蕪村忌
26官庁御用納め
己巳
28上弦の月のイメージ上弦:04時10分
納めの不動
30取引所納会
31大祓・除夜祭・年越し
男鹿なまはげ

2025年/令和7年/皇紀2685年/平年/ 乙巳(きのとみ)


12月のお話

師走
December
大雪と冬至
時雨・寒波・年末低気圧
閉塞成冬(七十二候 大雪~冬至)
Hunter’s Moon
アドベント

篝火花(カガリビバナ/シクラメン)
篝火花(カガリビバナ/シクラメン)

データ出典:

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
佐藤幹哉の流星研究ウェブページ
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」観測ガイド(倉敷科学センター)
・東京都神社庁選定「神社暦」