2019年6月の星空

星空解説

 梅雨に入り夜も短く、6月は星を見上げる機会が少なくなる季節です。
 けれど梅雨の晴れ間が広がった日には、夕刻の薄明が終わる頃に天頂付近を見上げてみましょう。
 オレンジ色の1等星が輝いています。

 これはうしかい座 のアルクトゥルスという星で、梅雨時の輝星らしく雨夜の星(あまいのほし)、五月雨星(さみだれぼし)など風情ある和名を持っています。
 また麦が熟れる頃に昇る星であることから、麦星麦熟れ星麦刈り星などの異名も持っています。農事暦と共に生きた、昔の日本人の生活が偲ばれますね。

 今月の見所は、11日を迎える木星(♃) です。
 衝の頃の惑星は、日没頃には東の空に昇り、真夜中に南中、日の出頃に西空へ没するため一晩中見えています。

 衝は惑星が一番地球に近づく時であるため、光度も明るく望遠鏡での観察にも適します。明るいのは衝の当日だけではありませんので、穏やかな雨上がりの夜がありましたらぜひ望遠鏡を向けてみましょう。
 そして、望遠鏡の中の惑星の像がピッタリ止まって見えるような夜があったら高倍率で眺めてみましょう。先月も書きましたが、木星の縞模様をスケッチしてみると、模様をしっかり見るための目が育ちます。
 有名なイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見された木星の4大衛星(※ガリレオ衛星)も、小望遠鏡で動く様子を観察することが出来ます。

※ガリレオ衛星:木星に近い順にイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。ガニメデは太陽系で一番大きな衛星。イオは活火山があることで知られています。

 下の図は6月11日21時(午後9時)の南へ向かって立った時の東京の空です。
 木星は南東の空、約20°の高さまで上ってきています。上弦を過ぎた月が燦々と輝いていますが、木星は負けずに明るく輝いていますからすぐにわかると思います。

 24日の夕空では水星が東方最大離角を迎えます。

 日没が遅い季節なので、薄明の中ようやく水星観察ができるほど暗くなるのは、東京で19時半くらい。まだまだ明るい空ですが、水星よりもっと低い位置に火星も輝いていますので、目印になるかもしれません。
 下の図は24日午後7時30分(19時30分)の東京の空で、水星の地平線高度は12°。とても低い位置ですが、これでも水星としては高い方です。

  水星は太陽から離れず見る機会が大変少ない惑星で、地動説で有名なコペルニクスも死の床で水星を見る機会がなかったことを嘆いたという逸話が残っているくらいです。
 双眼鏡を準備して捜してみましょう。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません

夏の星座夏の全天星図


見やすい星雲星団

  • 惑星状星雲
  • 散開星団
  • 球状星団
    • M3 (りょうけん座),NGC5139 (ω星団/ケンタウルス座)
  • 銀河(系外星雲)
    • M81・M82・M101 (おおぐま座),M65・M66 (しし座),かみのけ座~おとめ座銀河群

星雲星団を見よう星雲星団一覧表


今月のカレンダー

日 曜日月相天文現象
3? 新月:19時2分
6芒種:8時6分。太陽の黄経が75度になる。
8月が最近:8時15分(視直径32分25秒,0.959)
10?上弦:14時59分
11木星が:1時29分(へびつかい座,-2.6等,視直径46″.0)
入梅:13時32分。太陽の黄経が80度になる。
12海王星が西矩:10時03分
17?満月:17時31分
18水星(☿)が火星(♂)の北0°14’:23時34分
19ぎょしゃ座 R(周期462日,変光範囲6.7等-13.9等)が極大光度
22 夏至:0時54分。太陽の黄経が 90度になる。
23月が最遠:16時50分(視直径29分32秒,1.052)
24水星(☿)が東方最大離角:8時16分(+0.6等,離角25°.2)
25?下弦:18時46分

惑星用語の説明月の形の変化について