2020年06月の星空

星空解説

 梅雨に入り、夜が短く、6月は星空を見上げる機会が少なくなる季節です。
 けれど梅雨の晴れ間が広がった日、夕刻の薄明が終わる頃に天頂付近を見上げてみましょう。オレンジ色の1等星が輝いています。

 これはうしかい座 のアルクトゥルスという星で、梅雨時の輝星らしく雨夜の星(あまいのほし)、五月雨星(さみだれぼし)など風情ある和名を持っています。
 また麦が熟れる頃に昇る星であることから、麦星麦熟れ星麦刈り星などの異名も持っています。農事暦と共に生きた、昔の日本人の生活が偲ばれますね。


水星の東方最大離角

 4日の夕空で、水星が東方最大離角を迎えます。

 日没が遅い季節なので、薄明の中ようやく水星観察ができるほど暗くなるのは、東京で19時を過ぎてから。
 下の図は4日午後7時20分(19時20分)の東京の空です。水星の地平線高度は14°。とても低い位置ですが、これでも水星としては高い方です。

  水星は太陽から離れず見る機会が大変少ない惑星で、地動説で有名なコペルニクスも死の床で水星を見る機会がなかったことを嘆いたという逸話が残っているくらいです。
 双眼鏡を準備して捜してみましょう。

水星の東方最大離角(2020年6月4日 19時20分)

惑星観察

 来月を迎える木星と土星が、 夜半には見やすい位置に上ってくるようになります。
 木星も土星もひときわ明るく輝いていて、すぐに見つけることができます。また、月明かりや街明かりのある明るい空でも、支障なく望遠鏡で観察できます。
 小望遠鏡があったら低倍率で衛星の動きや縞模様,環の形を楽しんでみましょう。

 望遠鏡で惑星をとらえたら、是非スケッチをしてみましょう。スケッチをすることにより目が惑星に慣れ、何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。
 木星の近くに衛星が見えたら、それは ガリレオ衛星(※)と呼ばれる4個の衛星の中のどれかです。
 望遠鏡を持たない方も、地域にある公共の天文台の観望会を捜して出かけてみると、大きな望遠鏡で見せてもらえるかもしれません。

 土星の環は2009年に真横から見た後、北から眺める形になっています。2017年に一番大きく広がった姿になりましたが、ここ数年は環が見やすい状態です。

※ガリレオ衛星:
木星に近い順にイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。ガニメデは太陽系で一番大きな衛星。イオは活火山があることで知られています。

2020年6月15日 2時の木星・土星・火星・月

部分日食

 21日の夏至の日は、日食です。
 アフリカ大陸中部からアラビア半島南部、インド北部、中国南部から太平洋へ抜けるあたりでは金環日食となり、日本では全国で部分日食が見られます。

 参考:日食を見てみよう

地名食始まり食最大(食分)食終わり
札幌16:1217:00(0.290)17:45
仙台16:1217:07(0.400)17:57
東京16:1117:10(0.471)18:03
名古屋16:0817:10(0.512)18:06
大阪16:0617:10(0.538)18:07
広島16:0217:09(0.577)18:09
福岡15:5917:09(0.618)18:11
那覇15:5917:16(0.837)18:23
6月21日の部分日食(東京における食最大時)

南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため、日本からは見えません。

上旬おとめ座ケンタウルス座りょうけん座
中旬
下旬うしかい座・コンパス座(☆)

夏の星座
夏の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲
散開星団
球状星団M3 (りょうけん座),
NGC5139 (ω星団/ケンタウルス座)
銀河(系外星雲)M81・M82・M101 (おおぐま座),
M65・M66 (しし座),
かみのけ座~おとめ座銀河群

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2020年6月のカレンダー

日 曜日月相天文現象
3月が最近:12時38分(距離0.948)
4金星 (♀) が内合:2時44分
水星 (☿) が東方最大離角:8時16分(+0.4等,離角23°.36)
5芒種:13時58分。太陽の黄経が75度になる。
6?満月:4時12分(半影月食)
7火星が西矩:22時
10入梅:19時28分。太陽の黄経が80度になる。
11海王星が西矩:18時38分
13?下弦:15時24分
15月が最遠:9時57分(距離1.053)
21?夏至:6時44分。太陽の黄経が 90度になる。
新月:15時41分
金環日食(日本では全国で部分日食)
28?上弦:17時16分
30月が最近:11時13分(距離0.959)

2020年/令和2年/皇紀2680年/閏年/ 庚子(かのえね)

惑星用語の説明
月の形の変化について


6月のお話

水無月
June
芒種と夏至
入梅・梅雨・五月雨
Flower Moon(花の満月)
螳螂生(かまきりしょうず)
サクサイワマンの太陽の祭り
聖ヨハネ祭と Midsummer Day

6月の薔薇

データ出典:
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization