欅(ケヤキ)

2025年11月の星空

星空解説

 11月は日暮れが早く,空は高く澄み渡り,晴れの日も多く,本格的寒さはまだ。星を見るにはよい季節です。
 夜半になると賑やかな冬の星座も見やすい位置まで上ってきます。


惑星

 ふたご座を順行中の木星と,みずがめ座を逆行中の土星が観望できます。
 土星は宵の口に南東の空に上り,20時頃に南中します。
 冬の星座の中にある木星は,午前4時頃に南中します。


今期最後の土星の環の消失

 土星は0.8等〜0.9等の明るさでみずがめ座 を逆行で移動中。29日の留を境に順行に転じます。そろそろ観測シーズンが終わりに近づき,早めの時間帯の南西の空に見えています。

 土星の環は2009年に真横から見た後は北から眺める状態となり,2017年に一番大きく広がって見えました。その後,環の開きは小さくなって,今年2025年は環が消失する年です。

ミラ
地域の星空観望会があったら行ってみよう!

 2025年3月24日に地球は土星の環の南側へ移り,5月7日には太陽も土星の環の南側に移り,環の消失が起こりました。ただしこの頃は土星の観測が難しい時期でした。
 土星の環の消失は地球と太陽と土星の位置関係により3回起こり,2025年11月25日には3度目の消失が起こります。
 小望遠鏡があったら環が見えない土星をスケッチしておきましょう。

参考:土星の環の消失 – 国立天文台暦計算室

環消失の日の土星(2025-11-25 20:00 東京)
環消失の日の土星(2025-11-25 20:00 東京)

見やすくなってきた木星

 木星は月初めはふたご座を順行中で,12日の留を境に逆行となります。
 -2.3から -2.5等級でひときわ明るく輝いており,都会の街明かりの下でもすぐに見つけられます。小望遠鏡でも捉えやすく,低倍率でも縞模様や衛星を見ることができます。
 木星の近くに見える衛星は, ガリレオ衛星と呼ばれる4個の衛星のどれかです。

  ガリレオ衛星とは,望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星のことです。
 木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
 ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。

木星と冬の星座(2025-11-15 04:00 東京)
木星と冬の星座(2025-11-15 04:00 東京)

天王星の衝

 17日に天王星を迎えます。
 衝の頃の天王星の明るさは5.7等で,視力の良い人なら,暗く条件の良い空の下でかろうじて肉眼で確認できる明るさです。
 肉眼では厳しいですが,双眼鏡があれば市街地でも確認することができます。また,小望遠鏡なら面積を持った円盤状に見ることができます。今年はおうし座のプレアデス星団の近くに見えています。

 遠くにある天王星は数日経ってもほとんど変わらない場所に見えます。

天王星(2025-11-17)
天王星(2025-11-17)

スーパームーン

 11月5日の満月は「2025年で地球に最も近い満月」(スーパームーン)です。

  スーパームーンという言葉はアメリカの占星術師リチャード・ノル(Richard Nolle)氏が定義したもので,天文学とは関係ありません。けれど,月が楕円軌道を描いて地球を周回していること,月と地球の距離が一定ではないことを知る良いチャンスです。

 地球と月は近い時と遠い時で 4万キロも距離が変わり,満月の見かけの直径も最大で14%も異なっているのです。

 スーパームーンの時には潮汐力が強まり,砂浜の浸食が50%増すという研究結果も出ています。

ケイトとミラのスーパームーン (1) 
「スーパームーン」で砂浜浸食50%増し、海岸管理者への警告 | 日経クロステック(xTECH)

満月の大きさ比較
大きな満月と小さな満月の大きさ比較

流星群

おうし座流星群

 おうし座南流星群が5日に,おうし座北流星群が12日に極大を迎えます。
 どちらもHR=5個程度の小さな流星群で,見られるのはせいぜい1時間に2個程度。流星群だからといって沢山流れるわけではありません。

 流星の数は少ないものの,ほぼ一晩中観察でき,9月25日~11月25日頃まで長い期間見られます。
 ゆっくり流れ,火球が多いこともこの群の特徴です。空を見上げる機会があったら思い出してみましょう。

 母天体は2P/エンケ彗星です。


しし座流星群

ケイト
しし座流星群は,2002年に素晴らしい流星雨になったの。
次の母彗星の回帰でまた見られるといいね!

 しし座流星群は,18日03時に極大となりますが,20日が新月なので条件良好です。

 しし座流星群の流れ星は,痕を残して高速で流れるのが特徴で,しし座が上ってくる明け方に沢山流れます。
 流星観察は11月でもたいへん冷え込みますので,十分に防寒対策をして行いましょう。→ 流れ星を見てみよう

  しし座流星群の母天体,55P/テンペル・タットル彗星は2014年に遠日点を通過し,2031年5月の近日点通過に向けて太陽に近づいてきていますので今後が楽しみな流星群です。


一番日没が早い季節

 11月下旬〜12月上旬は,一年で一番日没が早い時期となります。
 昼の長さが一番短いのは冬至の日ですが,日没が早いのは冬至より少し前,日の出が遅いのは冬至より少し後になるのです。

 東京で2024年の日没が一番早くなるのは,11月28日〜12月12日の16時28分です。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬
中旬きょしちょう座(☆)
下旬アンドロメダ座うお座ちょうこくしつ座

秋の星座
秋の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座)
散光星雲
散開星団M34 (ペルセウス座)
M52 (カシオペア座)
h-χ (二重星団/ペルセウス座)
球状星団M2 (みずがめ座)
M15 (ペガスス座)
M30 (やぎ座)
銀河(系外星雲)M31 (アンドロメダ大星雲/アンドロメダ座)
M33 (さんかく座)
M77 (くじら座)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2025年11月のカレンダー

 日 曜日月相天文現象
1計量記念日・灯台記念日
米穀年度始め・自衛隊記念日
2十三夜(後の月)
3🎌文化の日
5満月のイメージ満月(望):22時19分(スーパームーン)
おうし座南流星群🌠が極大
6月が最近(距離 0.928):07時27分
不成就日
7立冬(太陽の黄経 225度):13時04分
8世界都市計画の日
9秋の全国火災予防運動
太陽暦採用記念日
10水星(☿)が留:08時22分
11世界平和記念日
十方ぐれ入り
12下弦の月のイメージ木星(♃)が留:04時54分
下弦:14時28分
おうし座北流星群🌠が極大
一の酉
一粒万倍日
13一粒万倍日
14不成就日・三隣亡
15七五三
18しし座流星群🌠が極大(条件悪):03時
19一茶忌
20新月のイメージ水星が地球最近(距離 0.677au):04時09分
月が最遠(距離 1.058):11時48分
新月(朔):15時47分
水星 (☿) が内合:18時23分
天一天上
21天王星が地球最近(距離 18.509au):19時18分
天王星(♅)が:21時25分(+5.7等)
22小雪(太陽の黄経 240度):10時36分
23🎌勤労感謝の日
水星が近日点(距離 0.307au):20時25分
不成就日
24祝日法第3条第2項による休日
二の酉
一粒万倍日
25土星の環の消失
金星と水星が合:10時52分(離角 -0°59′)
一粒万倍日
26旧亥の子餅・炉開き(亥の子の祝い)
三隣亡
28上弦の月のイメージ上弦:15時59分
29土星(♄)が留:09時35分
とおかんや(旧暦10月10日)
30水星(☿)が留:00時16分
火星が地球最遠(距離 2.424au):19時40分

2025年/令和7年/皇紀2685年/平年/ 乙巳(きのとみ)

・文化の日 11月3日。自由と平和を愛し,文化をすすめる。
・勤労感謝の日 11月23日。勤労をたっとび,生産を祝い,国民たがいに感謝しあう。


11月のお話

霜月
November
立冬と小雪
霜・霜柱・小春日和・木枯らし一号
山茶始開(七十二候 立冬~小雪)
Harvest Moon
アドベント

欅(ケヤキ)
欅(ケヤキ)

データ出典:

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
主な流星群一覧 2024年、2025年|やさしい88星座図鑑
2024年~2025年の流星群スケジュールと見える可能性 – 宇宙旅行.com
・東京都神社庁選定「神社暦」