桔梗と蜆蝶(キキョウとシジミチョウ)

2025年09月の星空

星空解説

 秋の日はつるべ落としと言います。
 9月になると日没時刻が早くなり,夕方の早い時間帯から星が見えるようになってきます。

9月の惑星

夜明けの惑星と黄道光

 長らく夕刻の西空に見えていた火星は太陽に近づき観察が難しい時期に入りました。13日に外合となる水星も見るのは難しいです。
 金星木星は明け方の東の空に見えています。


 また,9月に入ると明け方の空で黄道光が観望好期に入ります。黄道光は空気の澄んだところでしか見えませんが,山などへ行く機会があったら黄道に沿って光の帯が伸びているのを探してみましょう。

 惑星は太陽の通り道である黄道近くを移動します。星図に黄道を黄色い線で表示していますが,このように秋は黄道が地平線に垂直に近い角度で立っているため黄道に沿って現れる黄道光も見えやすくなるのです。
 黄道光は,黄道面に散らばる塵が太陽光の散乱して発する淡い光です。黄道面には彗星や小惑星が残したダストや,惑星が形成されたときの残骸などが漂っているのです。

明け方の惑星(2025-09-15 05:00 東京)
明け方の惑星(2025-09-15 05:00 東京)

土星の衝と環の消失

ケイト
土星の環を初めて観測したのはガリレオ。ガリレオは土星の環のことを「耳」って言ったんだって。

 土星(♄)は21日にを迎え観望しやすい時期に入ります。
 木星に比べるとかなり暗く感じる土星ですが,都会の街明かりでも問題なく見え,小望遠鏡でも捉えやすい惑星です。

 望遠鏡で惑星をとらえたら,是非スケッチをして今年の土星の姿を記録しておきましょう。今年は環が見えない土星を楽しむ15年に一度のチャンスです。
 スケッチのために一生懸命見ているうちに目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われるのです。

 土星の環は2009年に真横から見た後は北から眺める状態となり,2017年に一番大きく広がって見えました。その後,環の開きは小さくなって,今年2025年は環が消失する年を迎えました。

2025年9月の星空(2025-09-15 22:00 東京)
2025年9月の星空(2025-09-15 22:00 東京)

 まず,3月24日に地球は土星の環の南側へ移り,5月7日には太陽も土星の環の南側に移りました。ただしこの頃は土星の観測が難しい時期でした。
 土星の環の消失は地球と太陽と土星の位置関係により3回起こり,11月25日には三度目の消失が起こります。

 こういった「環の消失」をしっかり観察しようと思ったら三脚と望遠鏡は欠かせない存在ですが,小望遠鏡程度なら,この秋は土星の環をほぼ真横から見る状態であり,環が見えない土星を楽しむことができます。

参考:土星の環の消失 – 国立天文台暦計算室


海王星

 23日海王星(♆)がを迎えます。
 海王星を捜すのは初心者には難しいですが,小望遠鏡で拡大すると,小さな小さな円盤状に見ることができます。


中秋の名月

ミラ
今年の中秋の名月は10月だよー!

 9月といえばお月見の季節ですが,今年の中秋の名月は10月6日です。

 中秋の名月は秋の真ん中の日の月です。
 旧暦では秋は7月〜9月。だから8月は秋の真ん中=中秋で,旧暦8月15日は秋の真ん中の日。太陰太陽暦8月15日の夜に見える月のことを「中秋の名月」と呼びます。
 月齢に基づく旧暦では15日の月は満月でしたが,新暦では必ずしも満月になるわけではありません。

 中秋の名月(十五夜)は中国の風習が日本に輸入されて始まったものですが,日本では独自に後の名月(十三夜)を合わせてお月見する習慣が生まれました。十三夜は太陰太陽暦9月13日の夜の月のことです。
 2025年の十三夜11月02日です。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬いて座くじゃく座(☆)・ぼうえんきょう座(☆)
中旬こぎつね座や座わし座
下旬いるか座けんびきょう座(☆)・はくちょう座

秋の星座
秋の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲M27 (あれい状星雲/こぎつね座)
M57 (環状星雲/こと座)
散光星雲NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座)
散開星団
球状星団M2 (みずがめ座)
M15 (ペガスス座)
M30 (やぎ座)
M56 (こと座)
銀河(系外星雲)M51 (子もち星雲/りょうけん座)
M101 (おおぐま座)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2025年9月のカレンダー

日 曜日月相天文現象
1防災の日・関東大震災
2不成就日
3三隣亡
4一粒万倍日
6天王星 (♅) が留:13時55分
旧ぼん
7白露(太陽の黄経 165度):17時52分
一粒万倍日
8満月のイメージ満月(望):03時09分
皆既月食(日本全国で皆既食が見られる)
9重陽
救急の日
10月が最近(距離 0.949):21時10分
二百二十日立春を起算日とし220日目)
不成就日
12水路記念日
十方ぐれ入り・一粒万倍日
13水星 (☿) が外合:19時52分
世界の法の日
14下弦の月のイメージ下弦:19時33分
15🎌 敬老の日
旧地蔵ぼん
18不成就日・三隣亡
19子規忌
一粒万倍日
20彼岸入り
空の日・動物愛護週間
21水星が地球最近(距離 1.399au):02時44分
土星が(+0.6等,うお座):14時46分
土星が地球最近(距離 8.547au):17時03分
天一天上
22新月のイメージ新月(朔):04時54分
部分日食(日本では見られない)
旧八朔
23🎌 秋分の日(彼岸中日)
海王星(♆)が地球最近(距離 28.884au):01時19分
秋分(太陽の黄経 180度):03時19分
海王星(♆)が(+7.7等,うお座):21時54分
二日灸
不成就日
24結核予防週間
一粒万倍日
26月が最遠(距離 1.055):18時46分
社日(春分・秋分に最も近い戊の日)
彼岸明け
30上弦の月のイメージ上弦:08時54分
三隣亡

2025年/令和7年/皇紀2685年/平年/ 乙巳(きのとみ)

・敬老の日 9月の第3月曜日。多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し長寿を祝う。
・秋分の日 秋分日。祖先をうやまいなくなった人々をしのぶ。

惑星用語の説明
月の形の変化について


9月のお話

長月
September
白露と秋分
秋雨・秋霖・秋台風
草露白(七十二候 白露~秋分)
Fruit Moon
お月見
二百十日と二百二十日と台風

桔梗と蜆蝶(キキョウとシジミチョウ)
桔梗と蜆蝶(キキョウとシジミチョウ)

データ出典:

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・東京都神社庁選定「神社暦」