星空解説
秋の日はつるべ落としと言います。
9月になると日没時刻が早くなり,夕方の早い時間帯から星が見えるようになってきます。
9月の惑星
黄道光
9月に入ると明け方の空で黄道光が観望好期に入ります。黄道光は空気の澄んだところでしか見えませんが,山などへ行く機会があったら黄道に沿って光の帯が伸びているのを探してみましょう。
惑星は太陽の通り道である黄道近くを移動します。星図に黄道を黄色い線で表示していますが,このように秋は黄道が地平線に垂直に近い角度で立っているため黄道に沿って現れる黄道光も見えやすくなるのです。
黄道光は,黄道面に散らばる塵が太陽光の散乱して発する淡い光です。黄道面には彗星や小惑星が残したダストや,惑星が形成されたときの残骸などが漂っています。
土星が観望好期
10月4日に衝を迎える土星(♄)が観望しやすい時期に入ります。
木星に比べるとかなり暗く感じる土星ですが,都会の街明かりでも問題なく見え,小望遠鏡でも捉えやすい惑星です。
土星の環は昨年の消失(環を真横から見ている)の後,環を南側から眺める形になっており,まだ細い状態です。徐々に環が開いて見やすくなっているところです。
土星の環が次に最大に開いて見えるのは2032年5月頃。環の様子は毎年変わりますので,小望遠鏡があったら今年の土星の様子をスケッチに残しておきましょう。
惑星のスケッチとは不思議なもので,スケッチのために一生懸命見ているうちに目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。
惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われます。
金星・火星・木星
金星は日没後の西空で最大光度(-4.8等)を迎えます。地球上で日常的に肉眼で影を確認できる天体は,太陽・月・金星の3つのみであることが知られています(条件によっては天の川や火球・木星などで影ができることがあります)。
金星は9月下旬には地平線高度を下げ,見えにくくなっていきます。
木星はかに座からしし座を順行中で,日の出前の東の空低く見えます。明るさは-1.8等くらいです。
火星はふたご座からかに座を順行中で,日の出前の東の空に1.1等くらいの明るさで見えています。
海王星
23日に海王星(♆)が衝を迎えます。
海王星を捜すのは初心者には難しいですが,小望遠鏡で拡大すると,小さな小さな円盤状に見ることができます。
中秋の名月
今年の中秋の名月は満月の2日前の9月25日です。
中秋の名月とは,秋の真ん中の日の月のことです。
旧暦で秋は7月〜9月でした。
だから8月は秋の真ん中=中秋,旧暦8月15日は秋の真ん中の日となります。
この太陰太陽暦8月15日の夜に見える月のことを「中秋の名月」と呼びます。
月齢に基づく旧暦では15日の月は必ず満月でしたが,新暦では必ずしも満月になるわけではありません。なので,今年は満月と中秋の名月が別の日になっています。
中秋の名月(十五夜)は中国の風習が日本に輸入されて始まったものですが,日本では独自に後の名月(十三夜)を合わせてお月見する習慣が生まれました。十三夜は太陰太陽暦9月13日の夜の月のことです。
2026年の十三夜は10月23日です。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
| 惑星状星雲 | M27 (あれい状星雲/こぎつね座) M57 (環状星雲/こと座) |
|---|---|
| 散光星雲 | NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座) |
| 散開星団 | |
| 球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) M56 (こと座) |
| 銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲/りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2026年9月のカレンダー
| 日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
| 1 | 火 | 二百十日(立春を起算日とし210日目) 防災の日・関東大震災 | |
| 3 | 木 | 水星が地球最遠(距離 1.378au):06時38分 | |
| 4 | 金 | ![]() | 下弦:16時51分 金星が遠日点を通過(距離 0.728au):20時38分 |
| 5 | 土 | 旧地蔵ぼん | |
| 7 | 月 | 月が最近(距離 0.958):05時43分 白露(太陽の黄経 165度):23時41分 十方ぐれ入り・一粒万倍日 | |
| 8 | 火 | 不成就日 | |
| 9 | 水 | 重陽 救急の日 | |
| 11 | 金 | ![]() | 天王星(♅)が留:03時19分 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:04時01分 新月(朔):12時27分 二百二十日(立春を起算日とし220日目) 旧八朔 |
| 12 | 土 | 水路記念日 二日灸・不成就日 | |
| 13 | 日 | 世界の法の日 三隣亡 | |
| 14 | 月 | 一粒万倍日 | |
| 16 | 水 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:21時38分 天一天上 | |
| 19 | 土 | ![]() | 上弦:05時44分 金星(♀)が最大高度(-4.8等):10時 月が最遠(距離 1.052):12時00分 子規忌・一粒万倍日 |
| 20 | 日 | 彼岸入り 空の日・動物愛護週間 不成就日 | |
| 21 | 月 | 🎌 敬老の日 社日(春分・秋分に最も近い戊の日) | |
| 22 | 火 | 休日(祝日法第3条第3項による) | |
| 23 | 水 | 秋分(太陽の黄経 180度):09時05分 🎌 秋分の日(彼岸中日) | |
| 24 | 木 | 結核予防週間 | |
| 25 | 金 | 海王星(♆)が地球最近(距離 28.876au):13時38分 中秋の名月(十五夜) 三隣亡 | |
| 26 | 土 | 海王星(♆)が衝(+7.7等,うお座):10時36分 彼岸明け 一粒万倍日 | |
| 27 | 日 | ![]() | 満月(望):01時49分 水星が遠日点を通過(距離 0.467au):17時51分 |
| 28 | 月 | 不成就日 |
2026年/令和8年/皇紀2686年/平年/ 丙午(ひのえうま)
・敬老の日 9月の第3月曜日。多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し長寿を祝う。
・秋分の日 秋分日。祖先をうやまいなくなった人々をしのぶ。
9月のお話
・長月
・September
・白露と秋分
・秋雨・秋霖・秋台風
・草露白(七十二候 白露~秋分)
・Fruit Moon
・お月見
・二百十日と二百二十日と台風

データ出典:
・暦 国立天文台 電算室
・流星 主な流星群一覧(2026年の極大日)|やさしい88星座図鑑
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」の主極小予報 | 天文特集 | 倉敷科学センター
・東京都神社庁選定「神社暦」





