2017年10月の星空

 安定した晴れの日が多く日暮れが早く空が高く澄む十月は,星を見るには良い季節です。宵の頃には夏の大三角が西空に輝き,夜半前には東の空から賑やかな冬の星座たちが上ってきます。有名なギリシア神話に彩られた秋の星座たちは,ペガススの四辺形からたどってみましょう。

 さて,今年は中秋の名月が例年より遅く,10月4日となっています。
 満月は6日未明ですので満月まで1日以上あり,少し欠けた名月になります。中秋の名月とは秋の真ん中の日,仲秋(陰暦8月)15日の月のことで,必ずしも満月と同日にはなりません。むしろ中秋の名月と満月が重なることの方が少ないのです。
 中秋の名月は別名芋名月といい,昔から里芋を供える習慣がありました。日本人の主食が里芋だった名残だとも言われます。日本では,お月見は中秋の名月と後の名月十三夜)の両方の名月を見るものとされ,どちらか片方だけ見るのは片見月として忌み嫌われました。
 2017年の十三夜は11月1日です。中秋の名月を見た方は,忘れずに十三夜も眺めましょう。

 9日の夜には月がおうし座のヒアデス星団を通過し,多くの星が月に隠され,次々と星食が(えんぺい)が起こります。
 日付が変わって翌10日には,アルデバランの限界線星食(接食)が起こります。接食が見られるのは島根半島―石川県―福島県を結ぶ線上で,接食線上では月の凹凸に見え隠れする星の姿を楽しむことができます。接食の起こる地域より北,仙台や札幌などでは,星が月に隠される星食となります。

 8日夜に極大を迎えるりゅう座流星群(ジャコビニ流星群)は,今年は満月直後で条件最悪です。
 しかしながら秋の月は低い位置を通ります。りゅう座流星群は周期群から定常群へ移行しつつある流星群ですし,母天体ジャコビニ・ジンナー彗星の回帰は2018年9月。1年後に迫っていますので注目したい流星群です。輻射点が早めに沈んでしまうので観察時間帯は日没から夜半前まで。非常にゆっくりとした流星がふわっと飛ぶのを見かけたら,ジャコビニ流星群の流星です。できるだけ空の暗い場所でしっかりと防寒対策をして観察しましょう。
 10月にはもう一つ,21日に極大を迎えるオリオン座流星群もあります。こちらは1時間に10~20個の流れ星が観測される流星群で,痕を伴う明るい高速流星が特徴です。今年は新月の翌日で観測条件も最良。土曜日の夜で観測しやすい曜日まわりでもあります。
 流星観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。

 20日にを迎える天王星が観望好期です。
 天王星はとても暗い空の下,視力の良い人であればかろうじて肉眼で確認できる程度の明るさです。小さな双眼鏡などがあれば,確認しやすくなります。小望遠鏡では面積を持った円盤状に見ることができます。自分でさがすのが難しい人は,ぜひ公共天文台の観測会などに参加して見せてもらいましょう。


南中する星座

 午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
 ☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬 インディアン座(☆)・こうま座はちぶんぎ座(☆)・やぎ座
中旬 ケフェウス座
下旬 つる座とかげ座ペガスス座みずがめ座みなみのうお座

秋の星座秋の全天星図
  
 

見やすい星雲星団

惑星状星雲 M27 (あれい状星雲/こぎつね座)・M57 (環状星雲/こと座)・NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座)
散光星雲 NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座)
球状星団 M2 (みずがめ座)・M15 (ペガスス座)・M30 (やぎ座)・M56 (こと座)

星雲星団を見よう星雲星団一覧表
 


惑星用語の説明月の形の変化について

天文現象
2 小惑星(4)ベスタが:9時27分
4 中秋の名月
5 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:3時15分
火星と金星が接近(0°13’)
6 満月のイメージ 満月:3時40分
8 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:3時15分
寒露:5時33分。太陽の黄経が 195度になる。
水星が外合:14時15分
ジャコビニ流星群(りゅう座流星群)の極大:17時(条件悪)
9 体育の日
月が最近:14時55分(視直径32分34,0.954)
月がヒアデス星団を通過。
10 アルデバラン(αTau,0.9等)の星食及び限界線星食(島根―福島,南限界):1時41分
12 下弦の月のイメージ 下弦:21時25分
13 準惑星 冥王星(134340)が東矩:7時3分
18 水星と木星が1°01′に接近
20 新月のイメージ 新月:4時12分
天王星が:7時58分(+5.7等,うお座
秋の土用の入り:14時6分。太陽の黄経が 207度になる。
21 オリオン座流星群が極大(条件最良):20時
23 霜降:14時27分。太陽の黄経が 210度になる。
24 準惑星(2)パラスが最大離角(141°):1時7分
25 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:4時58分
月が最遠:11時26分(視直径29分29秒,1.054)
からす座 R(周期317日,変光範囲6.7等-14.4等)が極大光度
27 木星が:14時23分
28 上弦の月のイメージ アルゴル型食変光星 アルゴル極小:1時47分
上弦:7時22分
96P/マックホルツ第1周期彗星が近日点通過
30 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:22時36分
31 りょうけん座 R(周期329日,変光範囲6.5等-12.9等)が極大光度