2018年10月の星空

 安定した晴れの日が多く日暮れが早く空が高く澄む十月は,星を見るには良い季節です。宵の頃には夏の大三角が西空に輝き,夜半前には東の空から賑やかな冬の星座たちが上ってきます。有名なギリシア神話に彩られた秋の星座たちは,ペガススの四辺形からたどってみましょう。

 1日,関東から九州までの広い範囲でオリオン座χ(4.4等)の接食=限界線星食(北限界)が見られます。接食が見えるのは,鹿児島県の甑島列島~延岡市の北~愛媛県と高知県の県境付近~徳島県阿南市付近~和歌山県海南市付近~三重県四日市市付近~愛知県知多市付近~茨城県北茨城市付近を結ぶ線上で,これらの地域では星が下弦前の月面の凹凸に見え隠れする様子が見られます。
 接食となる地域より南,鹿児島・静岡・東京などでは,星が月に隠される星食になります。東京でのオリオン座χの星食は2日0時3分(出現)です。

 9日朝に極大を迎えるりゅう座流星群(ジャコビニ流星群)は,母天体のジャコビニ・チンナー彗星が先月回帰したばかり,かつ新月という最良の条件です。
 ダストトレイルとの接近は9日午前中が予想されていて日本では日中となるため大出現の見込みは少ないものの,りゅう座流星群は周期群から定常群へ移行しつつある流星群で,8日夜および9日夜は,1時間あたり5個程度の流星が期待できます。
 輻射点が早めに沈んでしまうので観察時間帯は日没から夜半前まで。非常にゆっくりとした流星がふわっと飛ぶのを見かけたら,ジャコビニ流星群の流星です。できるだけ空の暗い場所でしっかりと防寒対策をして観察しましょう。流星観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。

 21日は名月,十三夜です。
 十三夜は日本独特の行事です。お月見は中秋の名月と後の名月(十三夜)の両方の名月を見るものとされ,どちらか片方だけ見るのは縁起の悪い“片見月”として忌み嫌われました。
 9月23日の中秋の名月を見た人は,ぜひ十三夜も見上げてみてください。

 22日にはオリオン座流星群が極大を迎えますが,満月前の大きな月があって条件は良くありません。
 オリオン座流星群は10月10日頃から流れますので,放射点が上がってくる夜半過ぎに月明かりの影響がなくなる19~20日あたりの夜が狙い目です。痕を伴う明るい高速流星が特徴で,1時間に10~20個の流れ星が期待できます。

 24日を迎える天王星が観望好期です。
 天王星はとても暗い空の下,視力の良い人であればかろうじて肉眼で確認できる程度の明るさです。小さな双眼鏡などがあれば,確認しやすくなります。小望遠鏡では面積を持った円盤状に見ることができます。
 自分でさがすのが難しい人は,ぜひ公共天文台の観測会などに参加して見せてもらいましょう。

 下の図は衝当日の天王星の位置で,白丸で囲まれた位置が天王星です。図はクリックして拡大して見てくださいね。
 この日は大きな月がありますが,天王星の位置は大きく変わったりしませんので,月が小さい新月の頃に捜してみましょう。

天王星の衝(2018-10-24)
天王星の衝(2018-10-24)


南中する星座

 午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
 ☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬 インディアン座(☆)・こうま座はちぶんぎ座(☆)・やぎ座
中旬 ケフェウス座
下旬 つる座とかげ座ペガスス座みずがめ座みなみのうお座

秋の星座秋の全天星図
  
 

見やすい星雲星団

惑星状星雲 M27 (あれい状星雲/こぎつね座)・M57 (環状星雲/こと座)・NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座)
散光星雲 NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座)
球状星団 M2 (みずがめ座)・M15 (ペガスス座)・M30 (やぎ座)・M56 (こと座)

星雲星団を見よう星雲星団一覧表
 


惑星用語の説明月の形の変化について

天文現象
1 オリオン座χ(4.4等)の接食(限界線星食,関東―九州縦断,北限界):23時57分
2 下弦の月のイメージ 下弦:18時45分
4 おとめ座 R(周期146日,変光範囲6.1等-12.1等)が極大光度
6 月が最近:7時27分(視直径32分36,0.953)
うしかい座 R(周期224日,変光範囲6.2等-13.1等)が極大光度
7 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:3時47分
8 体育の日
寒露:17時16分。太陽の黄経が 195度になる。
9 新月のイメージ りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)の極大:9時(条件最良)
新月:12時47分
10 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:0時36分
12 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:21時25分
13 準惑星(1)ケレスが:3時23分
15 水星と金星が接近(6°49’):0時21分
アルゴル型食変光星 アルゴル極小:18時13分
>準惑星(134340)冥王星が東矩:19時38分
17 上弦の月のイメージ 上弦:3時2分
18 月が最遠:4時16分(視直径29分35秒,1.052)
19 やぎ座δ(2.9等)の白昼星食:15時35分(東京,潜入)/16時55分(東京,出現)
20 秋の土用の入り:19時58分。太陽の黄経が 207度になる。
21 十三夜(後の月)
22 オリオン座流星群が極大(条件最悪):2時
23 霜降:20時22分。太陽の黄経が 210度になる。
24 天王星が:14時37分(+5.7等,おひつじ座
25 満月のイメージ 満月:1時45分
金星が内合:11時12分
30 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:2時17分
水星と木星が3°16′に接近:12時38分