カタバミ

2021年05月の星空

星空解説

 今年のゴールデンウィークは4月27日が満月,5月4日が下弦。
 後半になるほど月明かりの影響がなくなり星空観察に適した条件になります。
 ゴールデンウィークの頃は日差しが強く昼間は暑いほどでも,夜はぐっと冷え込みます。しっかり防寒して星空観察をしましょう。


みずがめ座η流星群

 6日にピークを迎えるみずがめ座 η流星群は,母天体が有名なハレー彗星。月は下弦を過ぎており影響も少なく条件良好です。

 1時間に5個程度の流星群で,流れ星が次々に流れるようなことはありませんが,この群は痕をともなう明るい流星が特徴。火球が見えることもあります。
 また,輻射点(放射点)が秋の星座の みずがめ座 にあるため,群流星は東の空の低い位置から空を駆け上がるような経路を描いて流れます。

 輻射点が昇りきらないうちに薄明が訪れますので,群流星を観察できるのは,夜半過ぎから薄明が始まるまで。明け方の流星観測はゴールデンウィークの頃であってもかなり冷えます。十分に防寒対策を行いましょう。

2021年5月6日明け方の月と惑星とみずがめ座η流星群の放射点
2021年5月6日明け方 月と惑星とみずがめ座η流星群の放射点

 明け方の東の空では,月と木星と土星を見ることができます。
 みずがめ座η流星群の輻射点(放射点)は,月の上あたりにあります。

 参考: 流れ星を見てみよう


水星の東方最大離角

ミラ
水星を見る機会は貴重だよ!

 17日,夕刻の西空で水星が東方最大離角を迎えます。
 今回の東方最大離角は日没後の地平線高度が10度を超え,観望好機です。

 下の星図は東京の19時ですが,水星の地平線高度は16度。水星としては大変見やすい高さです。西の空が開けたところでさがしてみましょう。金星が見えるようなら,金星から双眼鏡を使ってたどると見つけやすいでしょう。

2021年5月17日 夕刻の水星と金星と月
2021年5月17日 夕刻の水星と金星と月

 太陽のすぐ近くを周回している水星は,いつも太陽の近くにいて,日の出直前か日没直後の,ほんの短い時間に地平線ぎりぎりの位置にしか見ることができません。

 このため水星を見る機会はとても少なく,地動説で有名なコペルニクスでさえも,死の床で水星を見る機会がなかったことを嘆いたという逸話が残っています。


皆既月食

ケイト
皆既中の月の色は月食のたびに違うよ!

 5月26日の満月は日本全国で皆既月食が見られます。
 ただし,北海道西部・東北西部・中部地方西部・西日本などでは月出帯食(げつしゅつたいしょく:月の出の前に月食が始まっている)となります。

 月食は見ていても大変楽しい天文現象です。
 スケッチをしたり写真を撮ったりしてみましょう。

 月食についての詳しい話は,月食を見てみようのページを参考にしてみて下さい。

月の出食の始皆既食始食最大
(食分)
皆既食終食の終
札幌18:5120:0920:18
(1.015)
20:2821:52
仙台18:3918:4420:0920:18
(1.015)
20:2821:52
東京18:3718:4420:0920:18
(1.015)
20:2821:52
京都18:5220:0920:18
(1.015)
20:2821:52
福岡19:1120:0920:18
(1.015)
20:2821:52
那覇19:0720:0920:18
(1.015)
20:2821:52
2021年5月26日 皆既月食

スーパームーン

 4月に引き続き,月が地球に近い位置で満月を迎え,大きな満月=スーパームーンとなります。

 4月の満月は月最近の12時間ほど前,5月の満月は月最近の10時間ほど後。4月と5月の月最近距離はほぼ同じなので,ほぼ同じ大きさの満月が見られます。
 この日は皆既月食のスーパームーンというわけです。

満月の大きさ比較
大きな満月と小さな満月

  スーパームーンという言葉はアメリカの占星術師リチャード・ノル(Richard Nolle)氏が定義したもので,天文学とは関係ありません。けれど,月が楕円軌道を描いて地球を周回していること,月と地球の距離が一定ではないことを知る良いチャンスです。

 地球と月は近い時と遠い時で 4万キロも違い,満月の直径も最大で14%も異なっているのです。スーパームーンの時には潮汐力が強まり,砂浜の浸食が50%増すという研究結果も出ています。

ケイトとミラのスーパームーン (1) 
「スーパームーン」で砂浜浸食50%増し、海岸管理者への警告 | 日経クロステック(xTECH)


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません 。

上旬おおぐま座コップ座
中旬
下旬かみのけ座 ・からす座
はえ座(☆)・みなみじゅうじ座(☆)

春の星座
春の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲NGC3242 (うみへび座)
M97 (おおぐま座)
散開星団M44 (プレセペ/かに座)
球状星団M3 (りょうけん座)
NGC5139 (ω星団,ケンタウルス座)
銀河(系外星雲)M81・M82・M101 (おおぐま座)
M65・M66 (しし座)
かみのけ座~おとめ座銀河群

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2021年5月のカレンダー

日 曜日月相天文現象
1八十八夜(立春を起算日とし88日目)
天王星(♅)が:04時54分
天王星が地球最遠(距離 20.764au):16時11分
3憲法記念日
土星(♄)が西矩:19時02分
4下弦の月のイメージみどりの日
下弦:04時50分
5こどもの日
端午
立夏(太陽の黄経 45度):15時47分
6みずがめ座 η流星群🌠が極大(条件良):11時~12時
12新月のイメージ新月:04時00分
月が最遠(距離 1.058):06時53分
17水星(☿)が東方最大離角(+0.4等,離角22°01’):15時00分
19旧灌仏会(かんぶつえ)
20上弦の月のイメージ上弦:04時13分
21小満(太陽の黄経 60度):04時37分
22木星(♃)が西矩:00時03分
26満月のイメージ月が最近(距離 0.930):10時50分
満月:20時14分
皆既月食 食最大(東京):20時18分
29金星(♀)と水星(☿)の合(離角 0°25’):14時13分

2021年/令和3年/皇紀2681年/平年/ 辛丑(かのとうし)

惑星用語の説明
月の形の変化について


5月のお話

皐月
May
立夏と小満
筍梅雨・青嵐・メイストーム・茅花流し・走り梅雨・卯の花腐し
Milk Moon(ミルクの満月)
蛙始鳴(かわずはじめてなく)

カタバミ

データ出典:

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization