ヒガンバナ

2023年09月の星空

星空解説

 秋の日はつるべ落とし。
 9月になると日没時刻が早くなり,夕方の早い時間帯から星が見えるようになってきます。

 また,9月に入ると明け方の空で黄道光が観望好期に入ります。黄道光は空気の澄んだところでしか見えませんが,山などへ行く機会があったら黄道に沿って光の帯が伸びているのを探してみましょう。


惑星

明けの明星と水星

 日の出前の東の空で,金星が最大光度を迎え見頃です。

 また22日には水星が西方最大離角となります。22日の東京での日の出時刻は5時28分。約30分前の午前5時の水星の地平線高度は10度を超えています。水星としては高い位置で,比較的見つけやすい条件です。
 ほぼ真東の方向で,金星が目印になります。双眼鏡があれば肉眼より見つけやすくなります。

 太陽のすぐ近くを周回している水星は,いつも太陽の近くにいて,日の出直前か日没直後の,ほんの短い時間に地平線ぎりぎりの位置にしか見ることができません。
 このため水星を見る機会はとても少ないのです。

 地動説で有名なコペルニクスも,死の床で水星を見る機会がなかったことを嘆いたという逸話が残っています。

水星の西方最大離角(2023-09-22)
水星の西方最大離角(2023-09-22)

木星と土星

ケイト
ガニメデの名は木星=ゼウスに愛された美少年ガニュメーデースが由来!

 8月にを迎えた土星(♄)がまだまだ観望好期です。
 また夜半を過ぎると,東の空で11月にを迎える木星(♃)も見やすくなってきます。

 木星と土星は都会の街明かりの下でも問題なく見えます。また小望遠鏡でも捉えやすく,低倍率でも土星の環や木星の縞模様などを見ることができます。

 望遠鏡で惑星をとらえたら,是非スケッチをしてみましょう。
 スケッチのために一生懸命見ているうちに目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われます。

 木星の近くに衛星が見えたら, ガリレオ衛星(※)と呼ばれる4個の衛星のどれかです。

※ ガリレオ衛星
 望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星。
 木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
 ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。

 現在の土星は,細い環を北側から眺める形になっています。2017年に環は一番大きく広がって見え,2025年の環の消失に向かって閉じていっている最中なのです。来年はもっと細くなります。
 今年の姿をスケッチなどで残しておくと,環の見え方の移り変わりがよく分かります。


海王星

 19日を迎える海王星(♆)も観望好期です。
 海王星を捜すのは初心者には難しいですが,小望遠鏡で拡大すると,小さな小さな円盤状に見ることができます。
 公共の天文台の観望会などへ行く機会があったら見せてもらいましょう。


中秋の名月

ミラ
中秋の名月は芋名月。
里芋を供えて収穫に感謝だね!

 9月といえばお月見の季節。

 2023年の中秋の名月9月29日。満月の日です。
 中秋の名月は秋の真ん中の日,仲秋(陰暦8月)15日の月のことで,月齢に基づいて暦が作られる旧暦では満月でした。けれど新暦では必ずしも満月になるわけではありません。

 ここ数年は中秋の名月が満月と重なることが続いていますが,これは「たまたま」というわけです。

 日本では中秋の名月(十五夜)を見たら必ず後の名月(十三夜)も見なければ縁起が悪いとされてきましたので,十五夜にお月見をした方は,来月の十三夜も忘れずに眺めると良いですね。

 2023年の十三夜10月27日です。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬いて座くじゃく座(☆)・ぼうえんきょう座(☆)
中旬こぎつね座や座わし座
下旬いるか座けんびきょう座(☆)・はくちょう座

秋の星座
秋の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲M27 (あれい状星雲/こぎつね座)
M57 (環状星雲/こと座)
散光星雲NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座)
散開星団
球状星団M2 (みずがめ座)
M15 (ペガスス座)
M30 (やぎ座)
M56 (こと座)
銀河(系外星雲)M51 (子もち星雲/りょうけん座)
M101 (おおぐま座)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2023年9月のカレンダー

日 曜日月相天文現象
1二百十日立春を起算日とし210日目)
防災の日
2八せん終わり・三隣亡
3不成就日・一粒万倍日
4水星(☿)が地球最近(距離 0.628au):0時5分
5木星(♃)が月と合(離角 -3°05′):3時6分
6水星(☿)が内合:20時9分
7下弦の月のイメージ下弦:7時21分
8白露(太陽の黄経 165度):6時27分
旧地蔵ぼん
9重陽
救急の日
11二百二十日立春を起算日とし220日目)
不成就日・一粒万倍日
12水路記念日
13月が最遠(距離 1.057):0時43分
世界の法の日
15新月のイメージ新月:10時40分
旧八朔
16不成就日
18海王星(♆)が地球最近(距離 28.902au):23時39分
🎌 敬老の日
一粒万倍日
19金星(♀)が最大光度(-4.8等)
海王星(♆)が(+7.7等,みずがめ座):20時18分
20彼岸入り
空の日・動物愛護週間
22水星(☿)が西方最大離角:22時(離角 -17°52’)
23上弦の月のイメージ上弦:4時32分
🎌 秋分の日(彼岸中日)
秋分(太陽の黄経 180度):15時50分
十方ぐれ入り・一粒万倍日
24水星(☿)が近日点通過(0.307au):3時3分
不成就日
26彼岸明け
27土星(♄)が月と合(離角 2°25′):12時1分
社日(春分・秋分に最も近い戊の日)
28月が最近(距離 0.936):9時59分
29満月のイメージ満月:18時58分
中秋の名月(十五夜)
三隣亡
30一粒万倍日

2023年/令和5年/皇紀2683年/平年/ 癸卯(みつのとう)

惑星用語の説明
月の形の変化について


9月のお話

長月
September
白露と秋分
秋雨・秋霖・秋台風
草露白(七十二候 白露~秋分)
Fruit Moon
お月見
二百十日と二百二十日と台風

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データ出典:

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・流星 流星電波観測国際プロジェクト
・東京都神社庁選定「神社暦」

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