星空解説
秋の日はつるべ落とし。
9月になると日没時刻が早くなり,夕方の早い時間帯から星が見えるようになってきます。
また,9月に入ると明け方の空で黄道光が観望好期に入ります。黄道光は空気の澄んだところでしか見えませんが,山などへ行く機会があったら黄道に沿って光の帯が伸びているのを探してみましょう。
惑星
明けの明星と水星
日の出前の東の空で,金星が最大光度を迎え見頃です。
また22日には水星が西方最大離角となります。22日の東京での日の出時刻は5時28分。約30分前の午前5時の水星の地平線高度は10度を超えています。水星としては高い位置で,比較的見つけやすい条件です。
ほぼ真東の方向で,金星が目印になります。双眼鏡があれば肉眼より見つけやすくなります。
太陽のすぐ近くを周回している水星は,いつも太陽の近くにいて,日の出直前か日没直後の,ほんの短い時間に地平線ぎりぎりの位置にしか見ることができません。
このため水星を見る機会はとても少ないのです。
地動説で有名なコペルニクスも,死の床で水星を見る機会がなかったことを嘆いたという逸話が残っています。
木星と土星
8月に衝を迎えた土星(♄)がまだまだ観望好期です。
また夜半を過ぎると,東の空で11月に衝を迎える木星(♃)も見やすくなってきます。
木星と土星は都会の街明かりの下でも問題なく見えます。また小望遠鏡でも捉えやすく,低倍率でも土星の環や木星の縞模様などを見ることができます。
望遠鏡で惑星をとらえたら,是非スケッチをしてみましょう。
スケッチのために一生懸命見ているうちに目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われます。
木星の近くに衛星が見えたら, ガリレオ衛星(※)と呼ばれる4個の衛星のどれかです。
※ ガリレオ衛星
望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星。
木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。
現在の土星は,細い環を北側から眺める形になっています。2017年に環は一番大きく広がって見え,2025年の環の消失に向かって閉じていっている最中なのです。来年はもっと細くなります。
今年の姿をスケッチなどで残しておくと,環の見え方の移り変わりがよく分かります。
海王星
19日に衝を迎える海王星(♆)も観望好期です。
海王星を捜すのは初心者には難しいですが,小望遠鏡で拡大すると,小さな小さな円盤状に見ることができます。
公共の天文台の観望会などへ行く機会があったら見せてもらいましょう。
中秋の名月
9月といえばお月見の季節。
2023年の中秋の名月は9月29日。満月の日です。
中秋の名月は秋の真ん中の日,仲秋(陰暦8月)15日の月のことで,月齢に基づいて暦が作られる旧暦では満月でした。けれど新暦では必ずしも満月になるわけではありません。
ここ数年は中秋の名月が満月と重なることが続いていますが,これは「たまたま」というわけです。
日本では中秋の名月(十五夜)を見たら必ず後の名月(十三夜)も見なければ縁起が悪いとされてきましたので,十五夜にお月見をした方は,来月の十三夜も忘れずに眺めると良いですね。
2023年の十三夜は10月27日です。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M27 (あれい状星雲/こぎつね座) M57 (環状星雲/こと座) |
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散光星雲 | NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座) |
散開星団 | |
球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) M56 (こと座) |
銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲/りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2023年9月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 金 | 二百十日(立春を起算日とし210日目) 防災の日 | |
2 | 土 | 八せん終わり・三隣亡 | |
3 | 日 | 不成就日・一粒万倍日 | |
4 | 月 | 水星(☿)が地球最近(距離 0.628au):0時5分 | |
5 | 火 | 木星(♃)が月と合(離角 -3°05′):3時6分 | |
6 | 水 | 水星(☿)が内合:20時9分 | |
7 | 木 | 下弦:7時21分 | |
8 | 金 | 白露(太陽の黄経 165度):6時27分 旧地蔵ぼん | |
9 | 土 | 重陽 救急の日 | |
11 | 月 | 二百二十日(立春を起算日とし220日目) 不成就日・一粒万倍日 | |
12 | 火 | 水路記念日 | |
13 | 水 | 月が最遠(距離 1.057):0時43分 世界の法の日 | |
15 | 金 | 新月:10時40分 旧八朔 | |
16 | 土 | 不成就日 | |
18 | 月 | 海王星(♆)が地球最近(距離 28.902au):23時39分 🎌 敬老の日 一粒万倍日 | |
19 | 火 | 金星(♀)が最大光度(-4.8等) 海王星(♆)が衝(+7.7等,みずがめ座):20時18分 | |
20 | 水 | 彼岸入り 空の日・動物愛護週間 | |
22 | 金 | 水星(☿)が西方最大離角:22時(離角 -17°52’) | |
23 | 土 | 上弦:4時32分 🎌 秋分の日(彼岸中日) 秋分(太陽の黄経 180度):15時50分 十方ぐれ入り・一粒万倍日 | |
24 | 日 | 水星(☿)が近日点通過(0.307au):3時3分 不成就日 | |
26 | 火 | 彼岸明け | |
27 | 水 | 土星(♄)が月と合(離角 2°25′):12時1分 社日(春分・秋分に最も近い戊の日) | |
28 | 木 | 月が最近(距離 0.936):9時59分 | |
29 | 金 | 満月:18時58分 中秋の名月(十五夜) 三隣亡 | |
30 | 土 | 一粒万倍日 |
2023年/令和5年/皇紀2683年/平年/ 癸卯(みつのとう)
9月のお話
・長月
・September
・白露と秋分
・秋雨・秋霖・秋台風
・草露白(七十二候 白露~秋分)
・Fruit Moon
・お月見
・二百十日と二百二十日と台風
データ出典:
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・流星 流星電波観測国際プロジェクト
・東京都神社庁選定「神社暦」