星空解説
秋の日はつるべ落としと言います。
9月になると日没時刻が早くなり,夕方の早い時間帯から星が見えるようになってきます。
また,9月に入ると明け方の空で黄道光が観望好期に入ります。黄道光は空気の澄んだところでしか見えませんが,山などへ行く機会があったら黄道に沿って光の帯が伸びているのを探してみましょう。
9月の惑星
金星は夕刻西空の低空に見えています。
火星はおうし座 〜ふたご座 を順行中で0.7〜0.5等。
木星はおうし座 を順行中で-2.3〜-2.5等の明るさで,夜半過ぎにはかなり見やすくなってきます。
夜明けの水星
5日に西方最大離角を迎える水星が観望好期です。
東京での日の出30分前の水星の地平線高度は,9月3日〜9日で10度を超え,水星としては見つけやすい条件です。
ほぼ真東の方向で,双眼鏡があれば肉眼より見つけやすくなります。5日の東京の日の出時刻は5時16分です。
太陽のすぐ近くを周回している水星はいつも太陽の近くにいて,日の出直前か日没直後の,ほんの短い時間に地平線ぎりぎりの位置にしか見ることができません。
このため水星を見る機会はとても少ないのです。
地動説で有名なコペルニクスも,死の床で水星を見る機会がなかったことを嘆いたという逸話が残っています。
土星が衝
8日に衝を迎える土星(♄)が観望好期です。
木星に比べるとかなり暗く感じる土星ですが,都会の街明かりの下でも問題なく見えます。また小望遠鏡でも捉えやすく,低倍率でも土星の環を見ることができます。
望遠鏡で惑星をとらえたら,是非スケッチをしてみましょう。
スケッチのために一生懸命見ているうちに目が惑星に慣れ,何度か続けているとだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われます。
現在の土星は,細い環を北側から眺める形になっています。2017年に環は一番大きく広がって見え,2025年秋に向かって閉じていっている最中なのです。来年は環を真横から見る形となり「環の消失」が起こります。
今年の姿をスケッチなどで残しておくと,環の見え方の移り変わりがよく分かります。
海王星
21日に衝を迎える海王星(♆)も観望好期です。
海王星を捜すのは初心者には難しいですが,小望遠鏡で拡大すると,小さな小さな円盤状に見ることができます。
公共の天文台の観望会などへ行く機会があったら見せてもらいましょう。
中秋の名月
9月といえばお月見の季節ですね。
2024年の中秋の名月は9月17日,満月の前日になります。
中秋の名月は秋の真ん中の日,仲秋(陰暦8月)15日の月のことで,月齢に基づいて暦が作られる旧暦では満月でした。けれど新暦では必ずしも満月になるわけではありません。
日本では中秋の名月(十五夜)を見たら必ず後の名月(十三夜)も見なければ縁起が悪いとされてきましたので,十五夜にお月見をした方は,来月の十三夜も忘れずに眺めると良いですね。
2024年の十三夜は10月15日です。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M27 (あれい状星雲/こぎつね座) M57 (環状星雲/こと座) |
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散光星雲 | NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座) |
散開星団 | |
球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) M56 (こと座) |
銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲/りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2024年9月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 日 | 防災の日・関東大震災 | |
2 | 月 | 己巳 | |
3 | 火 | 新月(朔):10時56分 旧八朔 | |
5 | 木 | 水星(☿)が西方最大離角:11時(離角 -18°03′) 月が最遠(距離 1.057):23時54分 | |
7 | 土 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:03時12分 白露(太陽の黄経 165度):12時11分 | |
8 | 日 | 土星が衝:13時35分(みずがめ座,+0.6等) 土星が地球最近(距離 8.658au):16時15分 | |
9 | 月 | 重陽 救急の日 | |
10 | 火 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:00時02分 水星(☿)が近日点通過(0.307au):00時07分 二百二十日(立春を起算日とし220日目) | |
11 | 水 | 上弦:15時06分 三隣亡 | |
12 | 木 | 木星(♃)が西矩:19時53分 水路記念日 不成就日・一粒万倍日 | |
13 | 金 | 世界の法の日 | |
16 | 月 | 🎌 敬老の日 | |
17 | 火 | 中秋の名月(十五夜) 十方ぐれ入り・一粒万倍日 | |
18 | 水 | 満月(望):11時34分 部分日食(日本では見られない) 月が最近(距離 0.929):22時22分 | |
19 | 木 | 彼岸入り 子規忌 | |
20 | 金 | 海王星(♆)が地球最近(距離 28.893au):13時08分 空の日・動物愛護週間 不成就日 | |
21 | 土 | 海王星(♆)が衝(+7.7等,みずがめ座):19時17分 社日(春分・秋分に最も近い戊の日) | |
22 | 日 | 🎌 秋分の日(彼岸中日) 秋分(太陽の黄経 180度):21時44分 | |
23 | 月 | 祝日法第3条第2項による休日 三隣亡 | |
24 | 火 | 結核予防週間 一粒万倍日 | |
25 | 水 | 下弦:03時50分 彼岸明け | |
26 | 木 | 天一天上 | |
27 | 金 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:04時53分 | |
28 | 土 | 不成就日 | |
29 | 日 | 一粒万倍日 | |
30 | 月 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:01時42分 |
2024年/令和6年/皇紀2684年/閏年/ 甲辰(きのえたつ)
・敬老の日 9月の第3月曜日。多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し長寿を祝う。
・秋分の日 秋分日。祖先をうやまいなくなった人々をしのぶ。
9月のお話
・長月
・September
・白露と秋分
・秋雨・秋霖・秋台風
・草露白(七十二候 白露~秋分)
・Fruit Moon
・お月見
・二百十日と二百二十日と台風
データ出典:
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」観測ガイド(倉敷科学センター)
・東京都神社庁選定「神社暦」