星空解説
11月は日暮れが早く,空は高く澄み渡り,晴れの日も多く,本格的寒さはまだ。星を見るにはよい季節です。
夜半になると賑やかな冬の星座も見やすい位置まで上ってきます。
惑星
12月に衝を迎える木星が,夜半前には南東の空高く見えるようになります。
-2.7から -2.8等級の木星はひときわ明るく輝いており,都会の街明かりの下でもすぐに見つけられます。小望遠鏡でも捉えやすく,低倍率でも縞模様や衛星を見ることができます。
木星の近くに見える衛星は, ガリレオ衛星と呼ばれる4個の衛星のどれかです。
ガリレオ衛星とは,望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星のことです。
木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。
水星は日没後の西空の低い位置に見えており,16日に東方最大離角となります。けれど日没30分後の地平線高度は10度に満たず見つけるのは困難です。
金星は-4.0等から-4.2等の明るさで日没後の西空に見えています。
土星は0.8等〜0.9等の明るさでみずがめ座 を移動中。16日の留を境に逆行から順行に転じます。そろそろ観測シーズンが終わりに近づき,早めの時間帯の南西の空に見えています。
火星はかに座 を順行中で,真夜中に東の空に上ってきます。今月は0.1等から-0.5等まで明るさが変化します。
17日に天王星が衝を迎えます。
衝の頃の天王星の明るさは5.7等で,視力の良い人なら,暗く条件の良い空の下でかろうじて肉眼で確認できる明るさです。
肉眼では厳しいですが,双眼鏡があれば市街地でも確認することができます。また,小望遠鏡なら面積を持った円盤状に見ることができます。
遠くにある天王星は数日経ってもほとんど変わらない場所に見えます。月明かりのない晴れた日に探してみましょう。
流星群
おうし座流星群
おうし座南流星群が5日に,おうし座北流星群が12日に極大を迎えます。
どちらもHR=5個程度の小さな流星群で,見られるのはせいぜい1時間に2個程度。流星群だからといって沢山流れるわけではありません。
流星の数は少ないものの,ほぼ一晩中観察でき,9月25日~11月25日頃まで長い期間見られます。
ゆっくり流れ,火球が多いこともこの群の特徴です。空を見上げる機会があったら思い出してみましょう。
母天体は2P/エンケ彗星です。
しし座流星群
しし座流星群は,17日21時に極大となりますが,前日が満月で月明かり的には条件最悪です。
しし座流星群の流れ星は,痕を残して高速で流れるのが特徴で,しし座が上ってくる明け方に沢山流れます。
流星観察は11月でもたいへん冷え込みますので,十分に防寒対策をして行いましょう。→ 流れ星を見てみよう
しし座流星群の母天体,55P/テンペル・タットル彗星は2014年に遠日点を通過し,2031年5月の近日点通過に向けて太陽に近づいてきていますので今後が楽しみな流星群です。
一番日没が早い季節
11月下旬〜12月上旬は,一年で一番日没が早い時期となります。
昼の長さが一番短いのは冬至の日ですが,日没が早いのは冬至より少し前,日の出が遅いのは冬至より少し後になるのです。
東京で2024年の日没が一番早くなるのは,11月28日〜12月12日の16時28分です。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座) |
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散光星雲 | |
散開星団 | M34 (ペルセウス座) M52 (カシオペア座) h-χ (二重星団/ペルセウス座) |
球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) |
銀河(系外星雲) | M31 (アンドロメダ大星雲/アンドロメダ座) M33 (さんかく座) M77 (くじら座) |
2024年11月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 金 | 新月(朔):21時47分 計量記念日・灯台記念日 米穀年度始め・自衛隊記念日 己巳 | |
2 | 土 | 一粒万倍日・三隣亡 | |
3 | 日 | 🎌文化の日 | |
4 | 月 | 祝日法第3条第2項による休日 不成就日 | |
5 | 火 | おうし座南流星群🌠が極大 一の酉 一粒万倍日 | |
7 | 木 | 立冬(太陽の黄経 225度):07時20分 旧亥の子餅・炉開き(亥の子の祝い) 三隣亡 | |
8 | 金 | 世界都市計画の日 | |
9 | 土 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:05時05分 上弦:14時55分 秋の全国火災予防運動 太陽暦採用記念日 | |
10 | 日 | とおかんや(旧暦10月10日) | |
11 | 月 | 世界平和記念日 | |
12 | 火 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:01時54分 おうし座北流星群🌠が極大 不成就日 | |
14 | 木 | 月が最近(距離 0.937):20時16分 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:22時43分 | |
15 | 金 | 七五三 | |
16 | 土 | 満月(望):06時29分 土星が留:14時57分 水星(☿)が東方最大離角(離角22°33′):17時 十方ぐれ入り | |
17 | 日 | 天王星が地球最近(距離 18.572au):08時04分 天王星(♅)が衝:11時45分(+5.7等) アルゴル型食変光星 アルゴル極小:19時32分 しし座流星群🌠が極大(条件悪):21時 二の酉 一粒万倍日 | |
18 | 月 | 一粒万倍日 | |
19 | 火 | 一茶忌 三隣亡 | |
20 | 水 | 旧えびす講・旧誓文払(せいもんばらい) 不成就日 | |
22 | 金 | 小雪(太陽の黄経 240度):04時56分 | |
23 | 土 | 🎌勤労感謝の日 下弦:10時28分 | |
25 | 月 | 天一天上 | |
26 | 火 | 水星が留:13時26分 月が最遠(距離 1.054):20時56分 | |
28 | 木 | 不成就日 | |
29 | 金 | 三の酉 一粒万倍日 | |
30 | 土 | 一粒万倍日 |
2024年/令和6年/皇紀2684年/閏年/ 甲辰(きのえたつ)
・文化の日 11月3日。自由と平和を愛し,文化をすすめる。
・勤労感謝の日 11月23日。勤労をたっとび,生産を祝い,国民たがいに感謝しあう。
11月のお話
・霜月
・November
・立冬と小雪
・霜・霜柱・小春日和・木枯らし一号
・山茶始開(七十二候 立冬~小雪)
・Harvest Moon
・アドベント
データ出典:
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・佐藤幹哉の流星研究ウェブページ
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」観測ガイド(倉敷科学センター)
・東京都神社庁選定「神社暦」