星空解説
十月になると日暮れが早く夜が長くなります。天気も安定し澄んだ秋空が広がり,本格的な寒さも未だで星を見るのに良い季節です。
空高く馬肥ゆる秋,星空観望を楽しみましょう。
宵の頃には夏の大三角が西空に輝き,夜半前には東の空から賑やかな冬の星座たちが上ってきます。有名なギリシア神話に彩られた秋の星座たちは,ペガススの四辺形からたどってみましょう。
→ 秋の星座を探してみよう
惑星
先月21日に衝を迎えたばかりの土星(♄)はみずがめ座 を逆行中で,0.6〜0.8等。引き続き夜半前の空で観望好期です。
ふたご座 を順行中の木星(♃)は,夜半の東の空で見やすい位置まで昇るようになっており,夜明け頃に南中します。明るさは-2.1等〜-2.3等です。
木星と土星は都会の街明かりの下でも簡単に見つけられます。小望遠鏡があれば街中でも木星の縞模様や土星の環を楽しめます。
ただし,土星は今年2025年は環を真横から見る15年に一度の「環の消失」の年となります。
前回の環の消失は2009年で,その後は環を北から眺めていました。環は2017年に一番大きく開いて見え,以降は環が閉じていっていました。そして今年,2025年3月に地球は土星の環の南側へ移動しました。来月,2025年11月25日に地球は再び土星の赤道面に近づき「環の消失」が起こります。
「環の消失」が起こる当日でなくとも,今年は環が十分の閉じていますので,環が見えない珍しい土星を楽しむことができます。
スケッチをしてみよう
土星は木星に比べるとかなり暗く感じますが,都会の街明かりでも問題なく見えます。小望遠鏡でも捉えやすい惑星です。
望遠鏡があったら,是非スケッチをして今年の土星の姿を記録しておきましょう。今年は環が見えない土星を楽しむ15年に一度のチャンスです。そして環の様子は来年は随分と変わっています。
スケッチのために一生懸命に惑星を見ていると,不思議とだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われるのです。
木星は,望遠鏡で見ると近くに衛星が見えることがあります。木星の近くの明るい4個の衛星は ガリレオ衛星と呼ばれています。
ガリレオ衛星とは望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星のことで,木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。
中秋の名月
中秋の名月(十五夜)は9月になる年が多いのですが,今年は10月6日です。
中秋の名月とは秋の真ん中の日の月のことです。
旧暦では秋は7月〜9月でした。だから8月は秋の真ん中=中秋で,旧暦8月15日は秋の真ん中の日。太陰太陽暦8月15日の夜に見える月のことを「中秋の名月」と呼びました。
月齢に基づく旧暦では15日の月は満月でしたが,新暦では必ずしも満月になるわけではありません。
中秋の名月(十五夜)は中国の風習が日本に輸入されて始まったものですが,日本では独自に後の名月(十三夜)を合わせてお月見する習慣が生まれました。十三夜は太陰太陽暦9月13日の夜の月のことです。
2025年の十三夜は11月02日になります。
日本のお月見は,中秋の名月(十五夜)と後の名月(十三夜)の両方の名月を見るもので,どちらか片方だけ見るのは片見月と呼び,縁起が悪いものとして忌み嫌われました。
中秋の名月を見た方は,来月の十三夜にもお月見をしましょう。
十五夜には里芋を供えるため中秋の名月は芋名月,十三夜には栗や枝豆を供えるため後の名月は栗名月とか豆名月とも呼ばれます。
流星群
10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)
9日04時が極大で,8日〜9日の夜が極大の夜になりますが,7日が満月なので条件は悪いです。
この流星群は 輻射点が早めに沈んでしまうので 宵の口から夜半にかけてが観測時間ですが,ずっと月明かりがあるので,月が直接目に入らないようにして空を見上げましょう。
母天体のジャコビニ・チンナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)は6.6年周期で,だいたい13年に一度活発になります。周期群から定常群へ移行しつつある流星群で1時間に数個程度は期待できます。
この群の流星は,非常にゆっくりふわっと流れる特徴を持っています。
流星観察は冷えますので,しっかりと防寒対策をしましょう。流星観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。
オリオン座流星群
21日21時が極大です。
オリオン座流星群はハレー彗星を母天体とすることで有名です。
夜半を過ぎると月が明るくなってきますので,視野に月が入らないように工夫をして観望しましょう。
オリオン座流星群は10月2日から11月7日頃まで,長い期間流れる流星群です。
ピークの日以外にもよく活動している流星群なので,極大日にそれほど拘る必要はありません。晴れた日は,放射点が上がってくる夜半過ぎから眺めてみましょう。
痕を伴う明るい高速流星が特徴で,ZHR=30です。極大に近い頃なら1時間に10個程度の流れ星が期待できます。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M27 (あれい状星雲/こぎつね座) M57 (環状星雲/こと座) NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座) |
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散光星雲 | NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座) |
散開星団 | |
球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) M56 (こと座) |
銀河(系外星雲) |
2025年10月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 水 | 共同募金・法の日・全国労働衛生週間 不成就日・一粒万倍日 | |
2 | 木 | 金星(♀)が近日点(距離 0.718au):17時55分 準惑星(1)ケレスが衝:22時16分 | |
4 | 土 | 準惑星 (136472) マケマケが合:14時33分 | |
6 | 月 | 中秋の名月(十五夜) 天しゃ・一粒万倍日 | |
7 | 火 | 満月(望):12時48分 | |
8 | 水 | 寒露(太陽の黄経 195度):09時41分 月が最近(距離 0.936):21時38分 | |
9 | 木 | 10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)🌠が極大:04時 亥の子餅 不成就日 | |
10 | 金 | 水星(☿)が遠日点(距離 0.467au):20時48分 八せん始め | |
12 | 日 | 芭蕉忌 | |
13 | 月 | 🎌スポーツの日 | |
14 | 火 | 下弦:03時13分 鉄道の日 | |
16 | 木 | 一粒万倍日・三隣亡 | |
17 | 金 | 木星(♃)が西矩:14時43分 不成就日 | |
18 | 土 | 準惑星 (136199) エリスが衝:16時19分 庚申 | |
19 | 日 | 日本橋べったら市 一粒万倍日 | |
20 | 月 | 土用(太陽の黄経 207度):12時29分 火星と水星が合(離角1°58′):15時52分 えびす講・誓文払 | |
21 | 火 | 新月(朔):21時25分 オリオン座流星群🌠が極大:21時 八せん終り・不成就日 | |
22 | 水 | 平安神宮時代祭 甲子 | |
23 | 木 | 霜降(太陽の黄経 210度):12時51分 電信電話記念日 | |
24 | 金 | 月が最遠(距離 1.057):08時30分 国連の日 | |
26 | 日 | 準惑星 (136108) ハウメアが合 :05時31分 原子力の日 | |
27 | 月 | 読書週間 己巳 | |
28 | 火 | 一粒万倍日・三隣亡 | |
29 | 水 | 旧重陽 不成就日 | |
30 | 木 | 上弦:01時21分 水星(☿)が東方最大離角(離角23°53′):07時 | |
31 | 金 | 一粒万倍日 |
2025年/令和7年/皇紀2685年/平年/ 乙巳(きのとみ)
・スポーツの日 10月の第2月曜日。スポーツを楽しみ,他者を尊重する精神を培うとともに,健康で活力ある社会の実現を願う。
10月のお話
・神無月
・October
・寒露と霜降
・秋晴れ・露
・鴻鴈来(七十二候 寒露~霜降)
・Harvest Moon
・お月見
・輝け、十月の太陽よ(セイタカアワダチソウ)
データ出典
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・東京都神社庁選定「神社暦」