萩(ハギ)

2026年10月の星空

星空解説

 十月になると日暮れが早く夜が長くなります。天気も安定し澄んだ秋空が広がり,本格的な寒さも未だで星を見るのに良い季節です。
 空高く馬肥ゆる秋,星空観望を楽しみましょう。

 宵の頃には夏の大三角が西空に輝き,夜半前には東の空から賑やかな冬の星座たちが上ってきます。有名なギリシア神話に彩られた秋の星座たちは,ペガススの四辺形からたどってみましょう。

 → 秋の星座を探してみよう


惑星

土星

 4日にを迎える土星(♄)はくじら座 を逆行中で,0.3〜0.5等。観望好期です。木星に比べるとかなり暗く感じる土星ですが,都会の街明かりでも問題なく見え,小望遠鏡でも捉えやすい惑星です。

 土星の環は2025年の消失(環を真横から見ている)の後,環を南側から眺める形になっており,2026年はまだかなり細く見えています。
 土星の環が次に最大に開いて見えるのは2032年5月頃で,環は2032年に向かって徐々に開いているところです。見え方は毎年変わっていきますので,小望遠鏡があったら今年の土星の様子をスケッチに残しておきましょう。

 スケッチのために一生懸命に惑星を見ていると,不思議とだんだん模様がよく見えるようになっていきます。惑星の模様が見える目は,この「慣れ」によって養われるのです。


火星と木星

 火星(♂)はかに座からしし座を順行中(東に移動)で,明るさは1.1等〜0.9等。

 しし座 を順行中の木星(♃)も,夜明け前の東の空で見やすい位置まで昇ってきます。明るさは-1.9等〜-2.0等です。

ミラ
木星と土星は小望遠鏡のスケッチ観測がお勧め!

 木星もスケッチが楽しい惑星です。
 望遠鏡で見ると縞模様の他,近くに衛星が見えることがあります。木星の近くの明るい4個の衛星は ガリレオ衛星と呼ばれています。
  ガリレオ衛星とは望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星のことで,木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
 ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。


 水星(☿)は夕刻の西空で12日に東方最大離角を迎えますが,見かけの位置が太陽に近く観察は困難です。
 24日に内合となる金星(♀)も太陽に近く,観察は難しいでしょう。


十三夜

ケイト
十三夜は栗名月!

 2026年は9月25日が中秋の名月(十五夜)で,10月23日が十三夜です。

 中秋の名月とは秋の真ん中の日,陰暦8月15日の月の月です。
 そして中秋の名月の翌月の満月の2日前にあたる,陰暦9月13日の月が“後の月十三夜)”です。

 中秋の名月(十五夜)は中国の風習が日本に輸入されて始まったものですが,後の名月(十三夜)は日本独自の風習です。

 日本のお月見は,中秋の名月(十五夜)後の名月十三夜)の両方の名月を見るもので,どちらか片方だけ見るのは片見月と呼び,縁起が悪いものとして忌み嫌われました。

 中秋の名月を見た方は,来月の十三夜にもお月見をしましょう。
 十五夜には里芋を供えるため中秋の名月は芋名月,十三夜には栗や枝豆を供えるため後の名月は栗名月とか豆名月とも呼ばれます。


流星群

10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)

ミラ
流星観察は寒さ対策を万全にしようね!

 9日10時が極大で,8日〜9日の夜が極大の夜になります。11日が新月なので,一晩中月明かりが無く条件良好です。

 この流星群は 輻射点が早めに沈んでしまうので 宵の口から夜半にかけてが観測時間となります。街明かりや街灯などが直接目に入らないようにして空を見上げましょう。

 母天体のジャコビニ・チンナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)は6.6年周期で,だいたい13年に一度活発になります。周期群から定常群へ移行しつつある流星群で1時間に数個程度は期待できます。

 この群の流星は,非常にゆっくりふわっと流れる特徴を持っています。
 流星観察は冷えますので,しっかりと防寒対策をしましょう。流星観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。


オリオン座流星群

 22日3時が極大です。
 オリオン座流星群はハレー彗星を母天体とすることで有名です。
 上弦を過ぎた大きな月がありますので,視野に月が入らないように工夫をして観望しましょう。

 オリオン座流星群は10月2日から11月7日頃まで,長い期間流れる流星群です。
 ピークの日以外にもよく活動している流星群なので,極大日にそれほど拘る必要はありません。晴れた日は,放射点が上がってくる夜半過ぎから眺めてみましょう。

 痕を伴う明るい高速流星が特徴で,ZHR=30です。極大に近い頃なら1時間に10個程度の流れ星が期待できます。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬インディアン座(☆)・こうま座はちぶんぎ座(☆)・やぎ座
中旬ケフェウス座
下旬つる座 ・ とかげ座ペガスス座みずがめ座みなみのうお座

秋の星座
秋の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲M27 (あれい状星雲/こぎつね座)
M57 (環状星雲/こと座)
NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座)
散光星雲NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座)
散開星団
球状星団M2 (みずがめ座)
M15 (ペガスス座)
M30 (やぎ座)
M56 (こと座)
銀河(系外星雲)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2026年10月のカレンダー

 曜日月相天文現象
1共同募金・法の日・全国労働衛生週間
天しゃ・一粒万倍日
2月が最近(距離 0.961):05時52分
金星(♀)が留:22時40分
3下弦の月のイメージ下弦:22時25分
4アルゴル型食変光星 アルゴル極小:02時30分
土星が(+0.3等,くじら座):21時29分
土星が地球最近(距離 8.434au):23時13分
亥の子餅
5準惑星 (136472) マケマケが:20時05分
八せん始め
6アルゴル型食変光星 アルゴル極小:23時19分
不成就日
7小惑星 (2) パラスが:07時57分
三隣亡
8寒露(太陽の黄経 195度):15時29分
910月りゅう座群(ジャコビニ流星群)🌠が極大:10時
アルゴル型食変光星 アルゴル極小:20時08分
11新月のイメージ新月(朔):00時59分
不成就日・一粒万倍日・三隣亡
12水星(☿)が東方最大離角(離角23°10′):19時
🎌スポーツの日
芭蕉忌
13小惑星(4)ベスタが :15時24分
庚申
14鉄道の日・一粒万倍日
16八せん終り
17月が最遠(距離 1.053):07時56分
甲子
19上弦の月のイメージ上弦:01時13分
準惑星 (136199) エリスが:03時42分
日本橋べったら市・旧重陽・不成就日
20土用(太陽の黄経 207度):18時13分
えびす講・誓文払
22オリオン座流星群🌠が極大:03時
平安神宮時代祭・己巳
23霜降(太陽の黄経 210度):18時38分
十三夜(後の月)
電信電話記念日・一粒万倍日・三隣亡
24アルゴル型食変光星 アルゴル極小:04時11分
金星(♀)が内合:12時44分
水星(☿)が留:20時49分
国連の日
25金星が地球最近(距離 0.273au):10時42分
26満月のイメージ満月(望):13時12分
原子力の日・一粒万倍日
27アルゴル型食変光星 アルゴル極小:01時00分
準惑星 (136108) ハウメアが :13時19分
読書週間・不成就日
29月が最近(距離 0.948):03時06分
アルゴル型食変光星 アルゴル極小:21時49分

2026年/令和8年/皇紀2686年/平年/ 丙午(ひのえうま)

・スポーツの日 10月の第2月曜日。スポーツを楽しみ,他者を尊重する精神を培うとともに,健康で活力ある社会の実現を願う。

惑星用語の説明
月の形の変化について


10月のお話

神無月
October
寒露と霜降
秋晴れ・露
鴻鴈来(七十二候 寒露~霜降)
Harvest Moon
お月見
輝け、十月の太陽よ(セイタカアワダチソウ)


データ出典

・暦 国立天文台 電算室
・流星 主な流星群一覧(2026年の極大日)|やさしい88星座図鑑
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」の主極小予報 | 天文特集 | 倉敷科学センター
・東京都神社庁選定「神社暦」