ツルボ(蔓穂 )

2023年10月の星空

星空解説

 空高く馬肥ゆる秋です。
 空が澄み渡り安定した晴れの日が多い十月は,日暮れも早く,星を見るのに良い季節です。

 宵の頃には夏の大三角が西空に輝き,夜半前には東の空から賑やかな冬の星座たちが上ってきます。有名なギリシア神話に彩られた秋の星座たちは,ペガススの四辺形からたどってみましょう。

 → 秋の星座を探してみよう


惑星

 11月の頭にを迎える木星(♃)が観望好期に入ります。
 8月末にを迎えた土星(♄)も,夜半前の南西の空でまだまだ観察しやすい位置に見えています。

ミラ
木星と土星は小望遠鏡のスケッチ観測がお勧め!

 木星土星は明るくて,都会の街明かりの下でも簡単に見つけられます。小望遠鏡があれば街中でも木星の縞模様や土星の環を楽しむことも出来ます。

 土星はすぐに見つけられるので,土星をたよりに,やぎ座みずがめ座の星々をたどってみると,明るい星が少ないこれらの星座も見つけやすいでしょう。

 24日には土星と月の合が起こります。
 上弦を過ぎた少し大きめの月のすぐ横に土星が見られ,にぎやかな光景となります。

土星と月の合(2023-10-24 18:30)
土星と月の合(2023-10-24 18:30)

 火星(♂)はおとめ座からてんびん座あたりを順行中で,太陽に近く観察は難しいでしょう。

 水星(☿)は,月初めは夜明け前の東の空低く見えています。20日外合となり,その後は日没後の西空に変わります。太陽に近く観察は難しいでしょう。

 金星(♀)は明け方の南東の空で明けの明星として見えています。
 24日に西方最大離角を迎え,見やすい高さです。明るさは-4.7〜-4.4等です。


十三夜

ケイト
十三夜は栗名月とか豆名月とも言うよ!

 十三夜は「後の名月」とも呼ばれ,陰暦9月13日の月のことす。
 2023年は10月27日です。

 日本のお月見は,中秋の名月(十五夜)後の名月十三夜)の両方の名月を見るもので,どちらか片方だけ見るのは片見月と呼び,縁起が悪いものとして忌み嫌われました。

 9月に中秋の名月を見た方は,忘れずに十三夜にもお月見をしましょう。
 十三夜は栗名月とか豆名月とも呼ばれ,栗や枝豆を供えます。

お月見 by Mira House

日本では,昔から旧暦(陰暦)8月15日と9月13日の月を” 名月”と呼んで,この夜には供え物をして月を拝む” お月見 “をしてきました。  ” 中秋の名月( 十五夜)”とは 陰暦8月15日の月のことです。 陰暦では7月~9月が秋。 7月を孟秋,8月を仲秋,9月を季秋と名付け,8月15日は秋の真ん中の日であるため 中秋 ,その日の月が中秋の名月でした。 …


部分月食

 29日の満月では,日本全国で部分月食が見られます。小笠原諸島など一部の地域では,月食の途中で月が欠けたまま沈む月入帯食(げつにゅうたいしょく)となります。

 最大食分0.128の,ごく浅い部分月食です。
 月の位置も,夜明け前の西空低い位置となり,観察するには地平線近くまで空が見える場所が必要です。

食の始め食の最大(最大食分)食の終わり
4時34.5分5時14.1分(0.128)5時53.6分
2023年10月29日の月食時刻
部分月食(2023-10-29 05:14)
部分月食(2023-10-29 05:14)

 月食については 月食を見てみよう のページを参考にしてください。


流星群

10月りゅう座流星群

 9日10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)が極大を迎えます。

 今年は16時がピークで日没前ですが,月明かりがなく条件はまずまずです。

 この流星群は 輻射点が早めに沈んでしまうので 宵の口から夜半にかけてが見頃となります。宵の口から観測を始めましょう。

 母天体のジャコビニ・チンナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)は6.6年周期で,だいたい13年に一度活発になります。周期群から定常群へ移行しつつある流星群で1時間に数個程度は期待できます。

ミラ
流星観察は寒さ対策を万全にしようね!

 この群の流星は,非常にゆっくりふわっと流れる特徴を持っています。
 流星観察は冷えますので,しっかりと防寒対策をしましょう。流星観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。


オリオン座流星群

 2 2日の午前中にハレー彗星を母天体とするオリオン座流星群が極大を迎え,21日の夜中から22日未明にかけてが見頃です。
 上弦の月がありますので,月が沈む夜中以降で条件良好となります。

 オリオン座流星群は10月2日から11月7日頃まで,長い期間流れる流星群です。
 ピークの日以外にもよく活動している流星群なので,極大日にそれほど拘る必要はありません。晴れた日は,放射点が上がってくる夜半過ぎから眺めてみましょう。

 痕を伴う明るい高速流星が特徴で,ZHR=30です。極大に近い頃なら1時間に10個程度の流れ星が期待できます。


南中する星座

午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。

上旬インディアン座(☆)・こうま座はちぶんぎ座(☆)・やぎ座
中旬ケフェウス座
下旬つる座 ・ とかげ座ペガスス座みずがめ座みなみのうお座

秋の星座
秋の全天星図


見やすい星雲星団

惑星状星雲M27 (あれい状星雲/こぎつね座)
M57 (環状星雲/こと座)
NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座)
散光星雲NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座)
散開星団
球状星団M2 (みずがめ座)
M15 (ペガスス座)
M30 (やぎ座)
M56 (こと座)
銀河(系外星雲)

星雲星団を見よう
星雲星団一覧表


2023年10月のカレンダー

 曜日月相天文現象
2小惑星 (2) パラスが:1時9分
天一天上・不成就日
3準惑星 (136472) マケマケが:3時37分
6下弦の月のイメージ下弦:22時48分
8寒露(太陽の黄経 195度):22時16分
9🎌スポーツの日
10月りゅう座群(ジャコビニ流星群)🌠が極大:16時
10月が最遠(距離 1.055):12時42分
不成就日
12芭蕉忌
14鉄道の日
15新月のイメージ新月:2時55分
金環日食(日本では見られない)
不成就日・一粒万倍日・三隣亡
17天しゃ
18準惑星 (136199) エリスが:17時28分
火星が地球最遠(距離 2.550au):18時28分
一粒万倍日
19日本橋べったら市
20水星(☿)が外合:14時38分
えびす講
21土用(太陽の黄経 207度):0時58分
八せん始め
22上弦の月のイメージオリオン座流星群🌠が極大:09時
上弦:12時29分
23重陽
電信電話記念日・不成就日
24霜降(太陽の黄経 210度):1時21分
金星(♀)が西方最大離角(離角 -46°25′):08時
準惑星 (136108) ハウメアが :14時27分
土星が月と合:18時34分(離角 2°32′)
国連の日
26月が最近(距離 0.949):12時2分
原子力の日
27水星が地球最遠(距離 1.435au):10時3分
十三夜(後の月)
読書週間
一粒万倍日・三隣亡
29満月のイメージ満月:5時24分
部分月食(日本全国で見られる)
木星が月と合:15時37分(離角 -2°54′)
30一粒万倍日
31不成就日

2023年/令和5年/皇紀2683年/平年/ 癸卯(みつのとう)

惑星用語の説明
月の形の変化について


10月のお話

神無月
October
寒露と霜降
秋晴れ・露
鴻鴈来(七十二候 寒露~霜降)
Harvest Moon
お月見
輝け、十月の太陽よ(セイタカアワダチソウ)

ツルボ(蔓穂 )
ツルボ(蔓穂 )

データ出典

・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・流星 流星電波観測国際プロジェクト
・東京都神社庁選定「神社暦」