星空解説
9月になると日没時刻が早くなり,夕方の早い時間帯から星が見えるようになってきます。
また,9月に入ると明け方の空で黄道光が観望好期に入ります。黄道光は空気の澄んだところでしか見えませんが,山などへ行く機会があったら黄道に沿って光の帯が伸びているのを探してみましょう。
惑星
8月に衝を迎えた木星(♃)と土星(♄)が,引き続きやぎ座にて観測好期です。日が暮れて1時間ほどすると北東の空で見やすくなります。
木星と土星は都会の街明かりの下でも問題なく見えますので探してみましょう。小望遠鏡でも捉えやすく,木星は低倍率でも縞模様やガリレオ衛星(※)を見ることができます。
※ ガリレオ衛星
望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星。
木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。
13日,みずがめ座 で衝を迎える海王星(♆)も観望好期です。
海王星を捜すのは初心者には難しいですが,小望遠鏡で拡大すると,小さな小さな円盤状に見ることができます。
公共の天文台の観望会などへ行く機会があったら見せてもらいましょう。
中秋の名月
9月といえばお月見,中秋の名月ですね。2021年の中秋の名月は9月21日,満月の日になります。
中秋の名月は秋の真ん中の日,仲秋(陰暦8月)15日の月のことで,月齢に基づく旧暦では満月でした。けれど新暦では必ずしも満月になるわけではありません。今年の中秋の名月が満月と重なるのはたまたまということです。
昔は中秋の名月(十五夜)にお月見を行ったら,必ず後の月(十三夜)にもお月見をしなければならないとされ,十五夜のみを観賞することは縁起が悪く,「片見月」と呼ばれて忌み嫌われていました。
今年の後の名月(十三夜)は10月18日です。
十五夜にお月見が出来たら十三夜にも月を見上げてみましょう。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M27 (あれい状星雲/こぎつね座) M57 (環状星雲/こと座) |
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散光星雲 | NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座) |
散開星団 | |
球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) M56 (こと座) |
銀河(系外星雲) | M51 (子もち星雲/りょうけん座) M101 (おおぐま座) |
2021年9月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
2 | 木 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:01時48分 | |
4 | 土 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:22時37分 | |
7 | 火 | 新月:09時52分 白露(太陽の黄経 165度):18時53分 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:19時25分 | |
9 | 木 | 重陽 | |
10 | 金 | 二百二十日(立春を起算日とし220日目) | |
11 | 土 | 月が最近(距離 0.959):19時03分 | |
13 | 月 | 海王星が地球最近(距離 28.917au):21時36分 | |
14 | 火 | 上弦:05時39分 水星(☿)が東方最大離角(離角 26°46′):13時 海王星(♆)が衝(+7.8等,みずがめ座):18時21分 | |
20 | 月 | 敬老の日 彼岸入り 空の日 火星(♂)が地球最遠(距離 2.638au):20時46分 | |
21 | 火 | 満月:08時55分 中秋の名月(十五夜) | |
22 | 水 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:03時29分 | |
23 | 木 | 秋分の日(彼岸中日) 秋分(太陽の黄経 180度):04時21分 | |
25 | 土 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:00時17分 | |
26 | 日 | 彼岸明け | |
27 | 月 | 月が最遠(距離 1.053):06時44分 アルゴル型食変光星 アルゴル極小:21時06分 | |
29 | 水 | 下弦:10時57分 | |
30 | 木 | 外縁天体 準惑星 (136472) マケマケが合:16時15分 |
2021年/令和3年/皇紀2681年/平年/ 辛丑(かのとうし)
9月のお話
・長月
・September
・白露と秋分
・秋雨・秋霖・秋台風
・草露白(七十二候 白露~秋分)
・Fruit Moon
・お月見
データ出典:
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・アルゴル極小予報 予報 | 日本変光星研究会