星空解説
空が澄み渡り安定した晴れの日が多い十月は,日暮れも早く本格的な寒さも未だで星を見るのに良い季節です。
空高く馬肥ゆる秋,星空観望を楽しみましょう。
宵の頃には夏の大三角が西空に輝き,夜半前には東の空から賑やかな冬の星座たちが上ってきます。有名なギリシア神話に彩られた秋の星座たちは,ペガススの四辺形からたどってみましょう。
→ 秋の星座を探してみよう
惑星
先月8日に衝を迎えた土星(♄)はみずがめ座 を逆行中で,0.7〜0.8等。引き続き夜半前の空で観望好期です。
おうし座 の木星(♃)は夜半の東の空で見やすい位置まで昇るようになっており,明るさは-2.5等〜-2.7等です。月初めは順行ですが,9日に留となったあと逆行となります。
木星と土星は都会の街明かりの下でも簡単に見つけられます。小望遠鏡があれば街中でも木星の縞模様や土星の環を楽しめます。
土星は現在細い環を北側から眺める形になっています。2017年に環は一番大きく広がって見え,2025年秋に向かって閉じていっている最中です。来年は環を真横から見る形となり「環の消失」が起こります。
土星と1等星フォーマルハウトたよりに,やぎ座 やみずがめ座 の星々をたどってみると,明るい星が少ないこれらの星座も見つけやすいでしょう。
木星を望遠鏡で見ると,近くに衛星が見えることがあります。木星の近くの明るい4個の衛星は ガリレオ衛星と呼ばれています。
ガリレオ衛星とは望遠鏡を発明したイタリアの学者,ガリレオ・ガリレイによって1610年に発見された木星の4個の衛星のことで,木星に近い順にイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストと呼びます。
ガニメデは太陽系で一番大きな衛星,イオは活火山があることで知られています。
火星(♂)はふたご座 からかに座 を順行中で,明るさは0.4〜0.1等。夜明け前の南東の空高く見えています。
1日に外合となる水星(☿)は,日没後の南西の空の低空にあり,太陽に近くて観察は難しいでしょう。
金星(♀)も日没後の南西の低空で,-3.9等〜-4.0等です。
十三夜
十三夜は「後の名月」とも呼ばれ,陰暦9月13日の月のことす。
2024年は10月15日です。
日本のお月見は,中秋の名月(十五夜)と後の名月(十三夜)の両方の名月を見るもので,どちらか片方だけ見るのは片見月と呼び,縁起が悪いものとして忌み嫌われました。
9月に中秋の名月を見た方は,忘れずに十三夜にもお月見をしましょう。
十三夜は栗名月とか豆名月とも呼ばれ,栗や枝豆を供えます。
スーパームーン
10月17日の満月は「2024年で地球に最も近い満月」(スーパームーン)です。
スーパームーンという言葉はアメリカの占星術師リチャード・ノル(Richard Nolle)氏が定義したもので,天文学とは関係ありません。けれど,月が楕円軌道を描いて地球を周回していること,月と地球の距離が一定ではないことを知る良いチャンスです。
地球と月は近い時と遠い時で 4万キロも距離が変わり,満月の見かけの直径も最大で14%も異なっているのです。
スーパームーンの時には潮汐力が強まり,砂浜の浸食が50%増すという研究結果も出ています。
・ケイトとミラのスーパームーン (1)
・「スーパームーン」で砂浜浸食50%増し、海岸管理者への警告 | 日経クロステック(xTECH)
流星群
10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)
8日22時が極大です。
この流星群は 輻射点が早めに沈んでしまうので 宵の口から夜半にかけてが見頃となります。今年は早めの時間帯に極大となり月明かりもなく良い条件です。
母天体のジャコビニ・チンナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)は6.6年周期で,だいたい13年に一度活発になります。周期群から定常群へ移行しつつある流星群で1時間に数個程度は期待できます。
この群の流星は,非常にゆっくりふわっと流れる特徴を持っています。
流星観察は冷えますので,しっかりと防寒対策をしましょう。流星観測を計画しておられる方は,流れ星を見てみよう のページを参考にしてください。
オリオン座流星群
21日15時が極大です。
オリオン座流星群はハレー彗星を母天体とすることで有名です。
夜半を過ぎると月が明るくなってきますので,視野に月が入らないように工夫をして観望しましょう。
オリオン座流星群は10月2日から11月7日頃まで,長い期間流れる流星群です。
ピークの日以外にもよく活動している流星群なので,極大日にそれほど拘る必要はありません。晴れた日は,放射点が上がってくる夜半過ぎから眺めてみましょう。
痕を伴う明るい高速流星が特徴で,ZHR=30です。極大に近い頃なら1時間に10個程度の流れ星が期待できます。
南中する星座
午後8時(20時)に南中を迎える観察しやすい星座たちです。
☆印の星座は南天の星座のため,日本からは見えません。
見やすい星雲星団
惑星状星雲 | M27 (あれい状星雲/こぎつね座) M57 (環状星雲/こと座) NGC7293 (らせん状星雲/みずがめ座) |
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散光星雲 | NGC7000 (北アメリカ星雲/はくちょう座) |
散開星団 | |
球状星団 | M2 (みずがめ座) M15 (ペガスス座) M30 (やぎ座) M56 (こと座) |
銀河(系外星雲) |
2024年10月のカレンダー
日 | 曜日 | 月相 | 天文現象 |
1 | 火 | 水星(☿)が外合:06時09分 共同募金・法の日・全国労働衛生週間 | |
2 | 水 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:22時30分 亥の子餅 | |
3 | 木 | 新月(朔):03時49分 金環日食(日本では見られない) 月が最遠(距離 1.058):04時39分 準惑星 (136472) マケマケが合:09時12分 不成就日 | |
5 | 土 | 三隣亡 | |
6 | 日 | 一粒万倍日 | |
8 | 火 | 寒露(太陽の黄経 195度):04時00分 水星が地球最遠(距離 1.419au):20時42分 10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)🌠が極大:22時 | |
9 | 水 | 木星(♃)が留:16時13分 一粒万倍日・三隣亡 | |
11 | 金 | 上弦:03時55分 旧重陽 天しゃ・不成就日 | |
12 | 土 | 芭蕉忌 一粒万倍日 | |
14 | 月 | 🎌スポーツの日 火星(♂)が西矩:17時15分 鉄道の日 | |
15 | 火 | 十三夜(後の月) | |
17 | 木 | 小惑星 (3) ジュノーが合:00時17分 月が最近(距離 0.929):09時51分 満月(望):20時26分(スーパームーン) | |
18 | 金 | 準惑星 (136199) エリスが衝:04時59分 | |
19 | 土 | 日本橋べったら市 不成就日 | |
20 | 日 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:03時23分 土用(太陽の黄経 207度):06時51分 えびす講・誓文払 | |
21 | 月 | オリオン座流星群🌠が極大:15時 一粒万倍日・三隣亡 | |
23 | 水 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:00時12分 霜降(太陽の黄経 210度):07時15分 水星(☿)が遠日点(距離 0.467au):23時45分 電信電話記念日 庚申 | |
24 | 木 | 下弦:17時03分 準惑星 (136108) ハウメアが合 :22時05分 国連の日 一粒万倍日 | |
25 | 金 | アルゴル型食変光星 アルゴル極小:21時01分 | |
26 | 土 | 原子力の日 八せん終り | |
27 | 日 | 読書週間 甲子・不成就日 | |
30 | 水 | 月が最遠(距離 1.057):07時50分 金星(♀)が遠日点(距離 0.728au):23時07分 |
2024年/令和6年/皇紀2684年/閏年/ 甲辰(きのえたつ)
・スポーツの日 10月の第2月曜日。スポーツを楽しみ,他者を尊重する精神を培うとともに,健康で活力ある社会の実現を願う。
10月のお話
・神無月
・October
・寒露と霜降
・秋晴れ・露
・鴻鴈来(七十二候 寒露~霜降)
・Harvest Moon
・お月見
・輝け、十月の太陽よ(セイタカアワダチソウ)
データ出典
・暦 国立天文台 電算室
・流星 IMO | International Meteor Organization
・アルゴル極小予報 食変光星「アルゴル」観測ガイド(倉敷科学センター)
・東京都神社庁選定「神社暦」